「おじいちゃんの土俵入り」 木村研


 おじいちゃんが転んで、骨折したんだって。
 退院して帰ってきたとき、お父さんにおんぶされて元気がなかったんだ。
 だから、しょうくんが、
「すもうしよう」
っていったら、さびしそうに、
「もう、すもうできないよ」
っていったんだ。
 だって、おじいちゃん、すもうがつよくて、
「毎日、稽古するぞ」
って、すもうを教えてくれたじゃないか。
 しょうくんは、いいことを思いついた。
*    *
「おじいちゃん、おじいちゃん」
 しょうくんは、おじいちゃんに「すもうしよう」と、いった。
 おじいちゃんが、困った顔をしていたけど、「ぼくが作ったすもうだよ」
と、紙で作ったおすもうさんを、箱の土俵におくと、
「ほう。良くできてるじゃないか」
と、うれしそうにいったんだ。
 だから、おじいちゃんと、何番もすもうをとったんだ。
 紙ずもうでも、おじいちゃんは強い。
「おじいちゃんの優勝だな」
おじいちゃんは得意そうに、紙ずもうで土俵入りまでやってみせてくれたんだ。
 だから、しょうくんが、
「早く元気になって、また稽古つけてよ」
といったら、おじいちゃんがいったんだ。
「稽古はきびしいぞ」
ってね。

(作者のことば)
紙相撲は、大人と子どもが対等に勝負できるから、みんなで遊べます。星取表を作って五月場所をやってみよう。かんたんな「とんとん紙ずもう」は、『手づくりおもちゃを100倍楽しむ本』(いかだ社)や『忍者になるおもちゃ図鑑』(講談社bc・講談社)で紹介しています。

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