「お話のふくろ2 本棚のゆうれい」 はらまさかず


 「ねえ、お父さん、なにかお話してよ」
 こうくんがいった。
 「もう話したよ」
 「第一話だけだよ、お話のふくろあるでしょ」
 「どこいっちゃったかな」
 「ほら、あった」
 こうくんは、お話のふくろを本棚のすきまからみつけて持ってきました。
 「おお、そっくりだ」
 「これだって」
 「うーん、じゃあ、言葉をちょうだい」
 お父さんがいいました。
 こうくんは、考えます。 
 「ゆうれいの話ききたいな。」
 お父さんは、ふくろをあけると、『ゆうれい』といいました。
 「ゆうれい、でてきちゃったら、こうくんどうする~」
 「こわくないよ。友達になる」
 「友達になんかなれるもんか」
 「なれるよ」
 「なれない、なれない。どんなゆうれいでも、めちゃくちゃこわいよ
 お父さん、実はあったことあるんだ」
 「ほんと!」
 「うん」
 「どこで」
 「本棚」
 「本棚?」
 「図書館のな。お父さん、こうくんぐらいの時、図書館についてって、ひましてたんだ。ほら、大人って、図書館にずっといるだろ。そしたら、本棚のすきまにいたんだよ。これっくらいの小さいのが。」
 「こわくないじゃん」
 「こわいんだって、お父さんのことじっとにらみつけてさ、『みーたーなー』って。そして、」
 「そして?」
 「『わたしを見たものは一生勉強ができないであろう』って」
 「こわい」
 「第二話、本棚にいるゆうれい」

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