「ヒゲちゃんの冒険」 はらまさかず


 ヒゲちゃんは、お父さんのヒゲです。
 せっかく毎日伸びているのに、毎日そられて、いやになっちゃっいました。
 それで、あるひ、にげだしたのです。

 ヒゲちゃんは、こっそり、お母さんの鼻の下にくっつきました。
 「ここなら、そられないぞ」
と、ヒゲちゃん。
 でも、朝になって、かがみをみたお母さんは、ぎゃーっとさけび、ひげをぬきはじめたのです。
 「うわー、お父さんよりこわいや」
 ヒゲちゃんは、また、にげだしました。
 ヒゲちゃん、うさぎのメイちゃんの鼻の下にくっつきました。
 でも、メイちゃんの鼻には、もう、りっぱなヒゲがはえています。
 「ここじゃ、目立たたない」
 またまた、ヒゲちゃん、にげだしました。
 ヒゲちゃん、こんどは、なっちゃんの鼻の下にくっつきました。すると、
 「たいへん、なっちゃんにヒゲがはえた」
 みんなおおさわぎ。
 「子どもなのに、へんだよー」å
と、みんながいいました。
 「へんじゃないよ。」
 ヒゲちゃんは、おこって、また、にげだしてしまいました。
 「こんどは、どこにいこうかな」
と、まよっていたら、みんなが、
 「きゃー、けむし」
と、いいました。
 「けむしじゃないよ。」
 ヒゲちゃんは、けっきょく、お父さんの鼻の下にもどってきました。
 「あー、やっぱり、ここがいちばんいいや。」
ヒゲちゃんは、お父さんの鼻の下で、ゆったり手をひろげました。

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