「いーれて」 木村研


 あいちゃんが、ぬいぐるみのうさぎちゃんとままごとをしてあそんでいると、おにいちゃんが、
「海賊がたりないんだ。かりるよ」
と、とりあげてしまいました。
「だめよ」っていえなくて、あいちゃんは、部屋のすみにあった空き箱に入って、じっと涙をこらえていました。
 すると、だれかが箱を、たたきました。
「だあれ?」
 あいちゃんが外をみると、ぬいぐるみのうさぎちゃんが、
「いーれて」
と、箱に入ってきました。
「おもしろそう。ぼくもいれて」
 つづけて、ぬいぐるみのくまくんも入ってきました。
 箱がせまくなってしまったので、あいちゃんが後ろにさがると、
「ぼくもいれて」
と、きょうりゅうまで入ってきました。
 箱は、ぎゅうぎゅうぎゅう。
 それなのに、おにいちゃんまでが、
「いーれて」
と、はいってきました。

 しかたがありません。
あいちゃんは、ぎゅうぎゅうぎゅうのおうちで、ままごとをしてあそびました。

(作者のことば)
子どもたちは、狭い所がだいすきです。自粛で外に行けなくても、子どもたちはいろんなところで遊べます。うちの中で、すてきな遊び場を見つけてくださいね。

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