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ブックレビュー(21)

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読書感想文。
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#小説

蘭化じゃない。もう、ただの化け物。

『冬の鷹』 吉村 昭 新潮社 僕は語学の才能がない。努力が足りないだけだと言われるだろうが…

想像よりさらに一段高い空中を飛べる人

溺レる 川上 弘美 出版社:文藝春秋 狡猾に先を行く。常に何歩か逃げている。絶妙な距離感で…

何がご不満なのですか風太郎先生!

『修羅維新牢』 山田風太郎 ちくま文庫 どうしても見たかった写真展の開催最終日、仕事が延び…

「膝カックン」的カタルシス

『室町小説集』 花田清輝 講談社 なんだろうこれは。 読みながら呻いていたことは覚えている…

奥歯

本当にあたらしいことというのは、古いこととのつながりが切れているので、あたらしいのかどう…

吉村昭らしくない吉村昭

「史実の隙間を情緒で埋めない」歴史小説家・吉村昭の、とても珍しい小説を読んだ。『虹の翼』…

下手くその力

『らも 中島らもと三十五年』 中島 美代子 出版社:集英社 中島美代子は中島らもの奥さんである。中島らもは作家だが、中島美代子は素人だ。 中島らもの破天荒な生活は、彼自身の著書に「プロの筆で」描かれているが、同じ破天荒も素人の筆で描かれるととんでもないことになる。 素人は嘘が下手。 素人は加減を知らない。 素人は暴走する。 結果、この本は生々しくえげつない、ある意味名著となった。 中島らもがプロの筆で綺麗にまとめてきた事どもが、全部おっぴろげに、情け容赦なく書き尽くされ

贋作書いてみた

『夕べの雲』 庄野 潤三 出版社:講談社 読んだことなかったから買ってみた。 ある意味衝撃だ…

百瀬の論理

『ヘヴン』 川上未映子 出版社:講談社 川上未映子『ヘヴン』(講談社)読む。 百瀬の語るい…