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プレゼンの真髄がここにある

社内外で提案を行う場として、プレゼンには多くの人が悩まされているのではないでしょうか。本書はプレゼンの真髄に迫る必読の一冊です。

■はじめに


『プロフェッショナルプレゼン。
相手の納得をつくるプレゼンテーションの戦い方』
どんな本→プレゼンや営業に関わる人が持つべきスキルと心構え
読みやすさ★★★★★(非常に読みやすい)
インプレスジャパン 2008年出版
著者:小沢正光

著者は博報堂で伝説と言われるクリエイティブディレクターです。残念ながらすでに2016年に逝去されていますが、多くの人が知る有名な広告制作に携わってきました。

この本との出会いは、あるセミナーの登壇者がバイブルとして何度も読み返していると語っていたことからです。私も広告会社に勤めているので興味を持ってすぐに購入しましたが、本書を読むといかにこれまでの自分のプレゼンが浅かったかを実感させられます。

本書はプレゼンの達人たる著者が、その技術と思考を誰もが応用できるよう、分かりやすく体系化させたものです。今まで我流でプレゼンに取り組んできた人は、一度新入社員になった気持ちで読んでみてはいかがでしょうか。

■学びたい3つのポイント

①まずはプレゼンのゴールを定めよう

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プレゼンの準備に取りかかるとき、私はまず、「このプレゼンはなんのためにやるのか」と問いかけることからはじめる。目的の見きわめ、あるいは目的の設定といってもいいかもしれない。その「プレゼンという仕事」をすることで、どういうことが達成されなくてはいけないのかと、ゴールイメージを最初に描くのだ(P25)

経営大学院で学び、今でも意識していることが「イシューを押さえ続ける」というポイントです。最初から最後までしっかりと論点を意識しながら、その論点に沿った行動をとり続ける。この重要性は身をもって感じています。

プレゼンでのイシュー、つまりゴールを明確化することで、企画全体に太い一本の芯のようなものを通すことができます。何のためにこのプレゼンが行われて、その結果がどのようなことに繋がるのか。

具体的な施策を考える上でも、ゴールイメージがあるからこそ、そこから逆算することができるようになります。プレゼンに取り掛かる時、色々なことを考えたくなりますが、まずはゴールイメージを決める時間を大切にしましょう。

②事前に決めておくべき3つの言葉

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3つの言葉だけは事前に決めておくことにしている(P143)
・「最初の言葉」によく用いるのは、アジェンダと結論だ(中略)その道筋(=アジェンダ)か、目的地(=結論)を、あらかじめ示しておくのである(P144)
・プレゼンの中盤のためには「転換の言葉」を準備しておく。この言葉の役割は文字どおり話を転換させるもので、それにより視点を変えてもらうことを目的としている(P146)
・そして「最後の言葉だ」。これはプレゼンの締めの言葉で、ほとんどの場合が、結論の確認をする。いわば”念押し”だ(P147)

プレゼンの本番では、ついあれも言わなければ、これも言わなければと考えがちです。伝えたいことがたくさんあっても、ただ語り続けると冗長的になってしまいます。この3つの言葉を事前に決めておくことで、メリハリをつけていきましょう。

特に最後の言葉は、聞き手のもっとも記憶に残るものなので大切にしたいところです。その場の雰囲気に合わせて内容を変えたとしても、最後の言葉で一番大事なことを再確認することで、提案の肝を確実に訴求できます。

転換の言葉も重要です。「例えば競合がやったとしたらどう思いますか?」「お客様の立場だとどうでしょう?」といったように聞き手の視点を切り替えてもらうことでより納得度が高まる可能性があります。

③苦い敗戦から学び、成長への糧とする

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プレゼンは受け手の理解を勝ち取り、選んでもらう場だ。選ばなかったほうに非はない。選んでもらえるようなプレゼンをしなかった自分たちに問題がある。(中略)負けたり、うまくいかなかったケースには、やはり悪しきパターンのようなものがある。臥薪嘗胆のつもりでもなんでも構わないから、敗因分析には取り組むべきだ(P184)

自分自身も何度も経験がありますが、勝利を得られなかったプレゼンは非常に辛いものとなります。競合プレゼンであれば、自社の提案よりも、他社の提案のほうが評価が高かったことを突き付けられるからです。

こちらの良さを理解できなかったのではないか?何か他に原因があったのではないか?と責任を放棄したくなることもあります。しかし、辛さを嚙みしめながらも過去の自分と向き合うことで強さが身についていきます。

なぜ勝てなかったのか、自分たちに不足していた部分は何だったのか、敗因をきっちりと分析とする。「負けたから、すぐ切り替えて次に」という安易な姿勢では次に繋がらないのです。

■まとめ

著者の小沢氏は、あまりにその仕事ぶりが壮絶なため、周囲の人が小沢氏との仕事の記憶をまとめた「おざわせんせい(集英社インターナショナル)」という本も出版されているほどの方です。

そんな著者の仕事へのこだわりを描いた本なのでまさに”秘伝の書”と呼べるほど濃い内容となっています。プレゼンをテーマに書かれていますが、実際には仕事との向き合い方の本でもあります。

読みやすい本なので時間をかけずに読むことはできるはずです。できれば常に手元に置いておき、自身の成長と共に何度も読み返すことで、毎回新しい学びを得ることができるでしょう。

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