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『サンタクロースの部屋』はきっと人生の宝物になる

「サンタさんにお願いしよう!」の時期に入りましたよね。サンタさんの存在、皆さんのおうちではどうしていますか?それぞれのサンタさんのお話、ぜひ聞いてみたいなぁ。

我が家の子どもたちにも、サンタさんは毎年プレゼントをくれています。(いや…あげています。と言ったほうが良いでしょうか。)
上の子たちが大きくなったここ数年、毎年、サンタさんの存在について、どうしていくのが一番いいのか、実は密かに悩んできました。
でも今回、ある本を読んですごく心にストンと落ちる瞬間があったんです。そのことを書いてみることにしました。


我が家の子どもたちのサンタさんへの思い

さて、我が家の3人の子どもたちは、とサンタさんに対してどんな風に思っているのか…を改めて考えてみると。

6年の娘は、きっとその存在に気付いている。今年は「サンタさんにお願いしよう」とは言わなくなった。
そこに改めて話をしたことはなくて、でも、いつか話さないといけない気もしている。

4年の息子も、やはり気付いていて、まだ知らないふりをしてくれている、そんな気がする。

1年の娘は、友達に「サンタさんはお父さんやで」と聞いてきたらしい。「でもわたしはサンタさんはちゃんとおると思う」と、まだ信じていたい気持ちもコッソリ伝えてくれる。

サンタさんの存在に対して、それぞれの思いがあるようです。

サンタクロースの役割を担うこと

では、対して父母は、どう感じているのか…。

育児を始めて12年間、主人と共に、サンタ服を着て子どもにプレゼントを手渡してみたり、さすがに姿を見せるとバレるだろう…という時期になったらキラキラのペンで、筆記体で、サンタからのお返事を書いてみたり、
それなりに親も楽しみながらサンタさんの役割を果たしてきた。

でも、子どもたちが大きくなるにつれ、

「サンタさんってなんでドア勝手に開けれるん?」

という質問に対して

「サンタさんはドア、すり抜けれるねん」

と返答したり

「サンタさんにswith頼もうと思うねん!」

という(母にとっては予算的に)衝撃的な発言を聞いて

「サンタさんはあんまり高すぎるおもちゃは届けてくれへんのちゃうかなぁ」

そんなやりとりを何度もする中で、サンタクロースの役割を担うことはもしかすると、子どもたちを騙していることになるんじゃないか?とどこかでうしろめたさを感じ始めていたのです。

「いつどんなふうに子どもたちに真実を明かせばいいんだろう。」という母の葛藤が…

『サンタクロースの部屋 子どもと本をめぐって』との出会い

そんな葛藤を抱えながら過ごしていた先日、現在私が図書館司書の資格を取得中の身であるため、図書館関連の本をよく読むのですが、松岡享子さん著「サンタクロースの部屋」という本に出会いました。

松岡さんは、児童図書館員として海外に留学した後、松の実文庫という私設図書館をひらかれ、その後、現在東京都にある「東京こども図書館」を開設された、子どもと本のことに深く関わってこられた方です。
 
この本のはしがきでこんな言葉がありました。

もう数年前のことになるが、アメリカのある児童文学評論誌に、次のような一文が掲載されていた。「子どもたちは、遅かれ早かれ、サンタクロースが本当はだれかを知る。知ってしまえば、そのこと自体は他愛のないこととして片付けられてしまうだろう。しかし、幼い日に、心からサンタクロースの存在を信じることは、その人の中に、信じるという能力を養う。わたしたちは、サンタクロースその人の重要さのためでなく、サンタクロースが子どもの心に働きかけて生みだすこの能力のゆえに、サンタクロースをもっと大事にしなければいけない」というのが、その大要であった。

『サンタクロースの部屋子どもと本をめぐって』松岡享子

さらに

心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、ここに迎えいれることができる。
(中略)別に、サンタクロースには限らない。魔法使いでも、妖精でも、鬼でも仙人でも、ものいう動物でも、空飛ぶくつでも、打出の小槌でも、岩戸をあけるおまじないでもよい。幼い心に、これらのふしぎの住める空間をたっぷりとってやりたい。」

『サンタクロースの部屋子どもと本をめぐって』松岡享子

この箇所を読んだ時、すごく、すごくほっとしました。目の前がパーッとひらけた感じ。

ほっとしたのはなぜか。

我が家は12年間、サンタクロースという存在を、私と主人の2人で共に演じてきました。
ただ、子どもたちが大きくなるにつれ、子どもたちからの質問もだんだん高度になってきて、悩みながら返答しつつも、騙しているような…少し後ろめたいような…気持ちが私の中で膨らんでいました。

でもこの本を読んで

サンタクロースの役割を担ってきたことは、子どもたちの中に、心のスペースを大きくできるひとつのきっかけになってきたのではないか。

そのスペースはきっと、この子達の心の余裕や、他者への包容力や、人生をユーモアで乗り越えていける逞しさとして、子ども自身を支えてくれるのではないか。

いつか子どもたちは、自然と、サンタさんの正体に気づいてしまう日が来るけれど、サンタさんの存在を信じて、ワクワクして過ごした日々を、きっと、家庭での温かい思い出として、心に留めてくれるのではないだろうか、と。

松岡さんの言葉を通して、そんなことを考えた朝でした。

それぞれのご家庭のサンタさんが、今年も子どもたちの心に素敵な思い出を作ってくれることを願って🎄

さぁ今年も、我が家もサンタさんのお仕事、しっかり全うします🎄

yomu店主

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