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「知床遊覧船事故」に係る一部マスメディアへの所感

4月30日、今回の事故で孫と息子を亡くした男性が取材に応じ、捜索や救助に当たっている関係者などへの謝意を表明するとともに、乗船者家族への配慮を報道各社に対し求めた。

一方、報道陣に対しては宿泊先などで後をつけられ、友人や知人宅にも押しかけていると苦言。母親はまだ見つかっていないとして「どうかそっとしておいてほしい。私たちは犯罪者ではない。報道のモラルが非常に残念だ」と強い口調で批判した。

共同通信

礼節を持ちながらも非常に強い言葉で訴えている。

この会見を扱った記事をざっと確認したが、会見自体は扱っているにもかかわらず、都合が悪いからか過熱する報道へ苦言を呈したこと、自制を求めたことに触れていないメディアもあった。

特に「宿泊先などで後をつけられ、友人や知人宅にも押しかけている」ことに言及したり、「私たちは犯罪者ではない」以下のコメントを伝えたメディアは非常に少ない。

この会見について扱うのであれば、報道各社は家族から批判を受けた当事者としてそのことを伝えるのが筋ではないだろうか。

乗船客の家族からはっきりとした言葉で訴えかけられる前に配慮をするのがそれほど難しいことなのか。

多くのメディアが集まった前でのことだから今回はその中のいくつかがこれを伝えたわけだけれども、ここに至るまでに家族や関係者から個別に配慮を求められたケースがそれなりにあったであろうことも想像に難くない。

この事故に係る一部マスメディアの動きは、船長の人となり、社長について言えば人となりに加えて一挙手一投足、乗船客の人となりや人生背景、乗船客家族の悲痛さなどを場合によっては強引さをもって追いかけて伝えることが中心になってしまっている。

テレビで言えば各局のワイドショーを視聴させるため、スポーツ紙や週刊誌で言えば購買させるため、ネット記事で言えばアクセス数を稼ぐために徒に世間を煽り立てていると思われても仕方がないだろう。

一部マスメディアの姿勢が今後も変わることは無いのだろうと思うと暗澹たる気持ちになる。
今回事故に遭った方、家族を始め関係者に安寧が訪れることを切に願う。

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