【紹介】山本弘『プロジェクトぴあの』【SFはすごい!】
天才アイドルがピアノドライブという宇宙船の新型エンジンを開発するお話です。アニメチックな装丁からSF〝風〟ライトノベルを想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、なんてったって著者は山本弘先生、相対性理論、タキオン(超光速粒子)、熱力学の第二法則の破る……などがっつりハードSFです。
ヒロインである、結城ぴあのはアイドルを踏み台にしか考えていません。自分の夢を叶えるためにすべてを捨てているのです。でも人間関係が苦手で、そのせいで、エンジンの開発以前に、人間関係のしがらみに四苦八苦するんです。その様子がなんとも山本先生らしくて良い作品でした。
日本電気株式会社(NEC)が1991年に「飛翔体の推進装置」という装置を開発して、当時「UFOを発明」と騒がれていたことは初めて知りました。まあ、これで宇宙に行くには世界中の電力集めても無理なくらいで、実用性はないんですが、夢広がりますよね。
ところで
今回この本を紹介しようと思ったのは、あとがきに泣いてしまったからです。山本弘先生は2018年に脳梗塞を患って簡単な計算すらできなくなったってしまったそうです。本書の後書きに「ハードSF作家山本弘の遺書だと思ってほしい」と書かれていて、思わず泣いてしまいました。
私は山本弘先生の作品のおかげで、ディック、イーガン、スタージョンなど海外のSFにも手を伸ばしました。それ以外にも、生物学者リチャード・ドーキンスの提唱したミーム(文化の遺伝子)について調べたり、チューリングテストからアラン・チューリングの数奇な人生に興味を持ったり、知的好奇心が自分の知識を押し広げてくれました。
科学に興味を持ったのも、ハードなSFに興奮できるようになったもの、ちょっと理屈っぽい人間になったものも(笑)、すべて山本弘先生のおかげです。
本当にありがとうございます!
最後に
動画では私の好きな山本弘作品をランキング形式で紹介しています。ご覧いただけたら幸いです。
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