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【カオリ】蜃気楼の憂鬱

蜃気楼で陽炎で透明な幽霊の
ぼくなんかの言葉なんて
叶いっこない
現実じゃない
ぼくなんて
ぼくなんて
そう呟くぼくに
手を差し伸べるように
君らは微笑んで
親身に ぼくの話聞いてくれたね
うれしくて
うれしくて
それで良かった
それが良かった
このままきっと
長生きしなくちゃいけない世界が待ってるから
きっと約80年
このままきっと
のらりくらり
揺蕩うよ
会いに来てねと言った言葉が
現実にならなくても良かったの
そう思ったぼくに
君らの決意が何度
届かなかったと思わせたことだろう
こんな当たり前のことにやっと気付いたぼくを
そろそろ嫌いになってくれるだろう?
そう言いたいのに

言えない
言えなくなってしまった

こんな心地の良い囚われ方が待っているとは
君らの方はずっと想像してたの?

輪郭浮かぶ雲眺め

あれが今のぼくなのかもな

なんて

揺れる猫じゃらし見つめ
佇んだ

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