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京都人は本当にいけずなのか?って話~仁平綾『京都はこわくない』

やすこさんへ

やすこさんは今までどんな街に住んできた?そして、住んでみたい街はありますか?
私は今まで住んだ長崎、熊本、東京、横浜、静岡、どの土地にも愛着があるけど、もし次にどこでも好きな場所に移住できるなら関西に住んでみたい。私の好きなレトロ建築の宝庫だし、食べ物が美味しくて、日本のどこに行くにも便利そう。大阪、神戸、そして京都!観光で行ったことしかないけど、どの街も大好き!

とは言え住むとなると京都はちょっと、という気持ちもあります。いつでもどこでも観光客で混んでそうだし、京都特有の謎ルールが色々あって大変そうじゃない?気づかない内に京都人から「これやからよそさんは嫌やわ」とか嫌われそうな、ちょっと怖いイメージもあるのよね。

この「京都(人)ちょっと怖い」というイメージは多くの人が持っているようで、この本の著者も京都に移住当初、友人知人から度々「怖くない?」と聞かれたそう。

著者の仁平さんは千葉育ち。東京での活動を経てニューヨークに9年間在住後、コロナ禍を機に帰国。どうせ日本に住むなら憧れの京都で暮らしたい!と縁もゆかりもなかった京都へ移住。”よそさん”の目から見た、京都の町、食べ物、行事、そして京都人についての驚きと魅力を書いています。

私は京都は4~5回行ってるけど、通り一遍の観光をしただけで、京都の真の魅力を何一つ知らなかった!とこの本で目を開かされた気分。

京都は湧水が豊富だって知らなかった。貴船神社や下賀茂神社など、あちこちの神社でおいしい水が汲めて、湧水で炊いたお米はびっくりするほどおいしいらしい。食べてみたい!
湯豆腐や懐石料理など和食イメージの京都、実は町中華がおいしいとは知らなかった。表紙写真のおいしそうなオムライスも中華屋さんのなんだって!食べたい!
他にも、祇園祭は有名な山鉾巡行だけでなく1か月に渡って行われる祭りであること、「怖いくらい効く」六波羅蜜寺のおみくじの話、縁切りで有名な安井金毘羅宮の話など、知らなかった!がたくさん。そしてどれもとっても魅力的。今、私、めちゃくちゃ京都行きたい!

気になる京都人のいけずについては、たまに「今のはただの挨拶?それともいけず?」と迷うようなこともあるけど、京都人に聞いてみても判断はまちまち。いけずと思うか否かは受け手次第。それなら言葉の裏など読まずに”いけず音痴”を貫くのが、京都で機嫌よく暮らすコツだとか。
そもそもどこの土地にも親切な人も意地悪な人もいるのに、メディアによって実際以上に「京都人=いけず」のイメージが作られてしまって京都の人も傷ついている、との話もあり、なるほど確かに、と思ったのでした。

巻末には著者おすすめのお店やお土産の他、骨董市などの情報も満載。本を携えて新幹線に飛び乗りたくなる一冊です。おすすめ。

2024年5月24日
かおりより

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