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キューバの話〜若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 』

かおりさんへ

こんにちは。
最近、旅行もののエッセイを見かけるとつい読みたくなります。流行り病が落ち着いてきたから、遠くに行きたくなっているのか、はたまた現実逃避か、どちらなんだろうか。

それはともかく、今回読んだのは若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 』です。Amazonによると「第3回斎藤茂太賞受賞! 選考委員の椎名誠氏に「新しい旅文学の誕生」と絶賛された名作紀行文」だそうです。図書館で見つけて借りてきたんだけど、なんと!うちのショウの本棚にありました……知らなかったわ。

オードリーの若林君のエッセイは『社会人大学人見知り学部 卒業見込 』も『ナナメの夕暮れ』も好き。ナイーブで自意識過剰でこじらせ男子の若林君のエッセイはいつでも等身大で、賢さがにじみ出ている。全然売れなくて、悶え苦しんでいたころの話は「だが、情熱はある」というドラマでさんざん見せつけられたけど、本当に世に出てきてくれてありがとうという気持ちになる。

さて、今回の本は超インドアの若林君がひとりでキューバに行った話。キューバの旅行記を期待して読むとあれ?なんか違うかも……と思うかもしれない。キューバに行ったことで若林君が何を感じてどう考えたかを丁寧に書き起こした彼の内面を覗き込むような本。

なぜ、キューバに行くことにしたかは壮大なネタバレになるので、ナイショにしておくけど、ああ、そこにそう繋がるのかあと納得ができる内容になっていると思う。

とはいえ、キューバでどこに行き、何を食べ、何をしたかという部分についてはきちんと書かれている。私は文庫版で読んだので、キューバ編に加えてモンゴル編・アイスランド編も楽しめたのだが、若林君の旅行の仕方はなかなか素敵だ。

現地のガイドをつけて、自分の行きたいところにスポットで行ったり、その土地の人の家庭を見せてもらったりとオリジナリティあふれる旅をする人なんだなと思う。キューバへの一人旅で自信をつけ、次はモンゴルに行こう!となるところがなんだか若林君らしいんだけど、流行り病での失われた3年がなければこの勢いでおもしろい土地に行き続けたんだろうなと思わずにはいられない。

世の中が落ち着いてきたいま、円安とオーバーツーリズムで今まで通りってわけにはいかないだろうけど、ぜひまたいろいろなところに行って若林君の旅行記2を出して欲しいなと思います。そして!私も今年はちょっと遠くに行こうともくろんでおります。ふふふ。そのお話はまた今度。では、また。

2024年1月26日
やすこより


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