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“中学受験のプロ”に聞く!国語力を鍛える「音読のススメ」

宿題の定番といえば、「音読」。子どもに「音読ってなんのためにやるの?」と問われたら、どんなふうに答えますか? 「音読は、国語の力を伸ばすためにぴったりの学習法」と話すのは、SAPIXなどで講師をつとめ、現在は独自の読解メソッドで中学受験のコーチングを行っている齊藤美琴さん。「音読」で養われる力について、詳しくお話を聞きました。


音読は国語の“筋トレ”

 音読は、国語力を鍛えるためのトレーニング、いわば国語の“筋トレ”です。読み方の練習と思われがちですが、じつは音読は、文章の内容を理解する力を伸ばすために適した学習法です。内容理解の力、語彙力、読解力など、国語にまつわる幅広い力が身につきます。

 音読は、続けることに意味があります。低学年のうちは、時間を決めるなどして「習慣」にするのがおすすめです。そもそも音読は決して楽しいものではないので、子どもの学年が上がると、音読に対するモチベーションが落ちることもありますが、そんなときは、子どもにも「音読はトレーニングとしてやるもの」ということを伝えましょう。目的を理解したうえで取り組んでいけるといいですね。

 国語の勉強をする時間がとれないときや、何から始めていいかわからないときにも、音読はおすすめです。スキマ時間にできるトレーニングや、勉強前のウォーミングアップとして、タイミングを決めてやってみましょう。腹筋や腕立て伏せのように、日々積み重ねることで着実に国語の力が伸びていきます。


音読するなら「初めて読む文章」を

 ぜひやってほしいのが、初めて読む文章の音読です。教科書の音読は、学校の授業で内容を話し合ったり、何度も音読していたりして、子どもが文章を暗記していることもよくあります。十分に読み込んだ文章は、音読でつまずくことがそれほどなく、あまりいいトレーニングにはなりません。

一方、初めての文章は、音読することで、さまざまな気づきを得ることができます。知らない言葉や初めて見る漢字と出合ったり、話の展開を予想しながら内容を理解したりする練習ができます。


音読トレーニングはココがポイント!

 子どもが音読のトレーニングをするときは、どんなことに気をつけて行ったらいいのでしょうか。齊藤さんに教えていただいた音読トレーニングのコツを紹介します。

◆1〜2分ほどで読める文章を選ぶ

音読は、短時間で続けることが大切です。子どもが1〜2分程度で読み終わる文章を選んで音読しましょう。初めのうちは、縦書きの文章でも、横書きの文章でも、どちらでも構いません。子どもが好きなジャンルを選ぶと、内容理解のハードルも低くトレーニングの抵抗感が薄れることがあります。


◆子どもの音読はすぐにフィードバックを

子どもが音読を始めたら、親は耳を傾けて読み間違えや文節の区切りが合っているかをチェックしましょう。漢字の読み間違いはその場で訂正してあげてください。声の大きさは、部屋の対角まで届く程度が目安です。読みにくそうにしているところは、内容を理解していない可能性が高いです。読んでいる最中に色々と口をはさむと、文章の流れをつかめなくなってしまうので、知らない言葉は、読み終わってすぐ、子どもにフィードバックしましょう。


◆はじめは文字を指でたどりながら音読する

スムーズに音読できているときは、声に出して読んでいる少し先を、自然と目が追っています。この状態をつくる練習として、読んでいる少し先を指でたどりながら音読するように伝えましょう。子どもが指で文字をたどる作業と、読む作業を並行してできないときは、親が子どもの指に手を添えて、一緒に指で文字をたどっても◎。次第に子どもが自分の指だけで文字をたどれるようになり、ゆくゆくは目で自然と先を追えるようになります。

◆わからない言葉は、音読後に調べる

知らない言葉が1つ程度であれば、音読中に教えてもOKです。複数あるときは、あらかじめ子どもに了解を得たうえで、知らなかった言葉に印をつけ、音読後にまとめて辞書で調べるようにしましょう。音読1回につき、1つでも新しい言葉を獲得できればラッキー!という気持ちで臨みましょう。

◆音読している様子を録画して親子で振り返る

慣れてきたら、スマホなどで子どもが音読している様子を録画して、子どもと一緒に振り返りとして観てみましょう。音読トレーニングを1ヵ月ほど続けたのち、開始当初の動画と見比べてみるのも一案です。うまくなっていることを親子で実感でき、子どものやる気アップにつながります。「うまくなってるね!」と、たくさん褒めてあげましょう。

◆たまにサボっても、継続することが大切

トレーニングを継続するのは、大人でも容易なことではありません。子どもの音読に対するモチベーションは、それほど高くないと認識しておきましょう。そのうえで、カレンダーにシールを貼る、やるタイミングを決めるなどの工夫をして、習慣にしていけるといいですね。


音読には、どんな本がおすすめ?

「音読におすすめなのは、1〜2分程度で読めるもの」と齊藤さん。音読に向いているおすすめの本を教えていただきました。


「よみとく10分 10分で読める名作」シリーズ
岡信子(選)/ 木暮正夫(選) Gakken

上段左から「よみとく10分 10分で読める名作 1年生」「よみとく10分 10分で読める名作 2年生」「よみとく10分 10分で読める名作 3年生」、
下段左から「よみとく10分 10分で読める名作 4年生」「よみとく10分 10分で読める名作 5年生」「よみとく10分 10分で読める名作 6年生」

1年生から6年生まで、各学年にぴったりの短いお話を13作品ずつ収録したシリーズです。音読にちょうどよいボリューム感で、名作に親しむ機会にもなります。


『はじめての自然科学366 読みもの&クイズで知識と教養がグングン身につく!』
特別編集 角川の集める図鑑GET!編集部 KADOKAWA

角川の集める図鑑GET!シリーズの全11冊「恐竜」「動物」「昆虫」「危険生物」「人体」「魚」「星と星座」「は虫類・両生類」「絶滅動物」「深海」「宇宙」から、
選りすぐりのトピックスを366個を収録。

音読教材は、物語にかぎらず、説明文でもOK! ルビがついているこちらの図鑑もいいですね。新しい言葉やふだん触れ合わない知識に接するチャンスにもなります。1見開きを音読1回分として、試してみてください。


家庭のチカラで音読トレーニングを続けよう!

「音読するなら、子どもが楽しんで読めるジャンルがおすすめ」と齊藤さん。物語でも、図鑑でも、子どもが興味を持つものを、やりやすい時間帯に短時間で行うのがいいそうです。
国語の“筋トレ”音読を日々の生活に取り入れて、子どもの国語の力をグンと伸ばしていきましょう!

取材・文:三東社

【プロフィール】
齊藤美琴
中学受験のコーチングをメインに、教科指導、幼稚園・小学校受験の相談など、家庭の力を引き出すレッスンを行う。SAPIXの個別指導部門・プリバート東京教室での国語科専任講師、ジャック幼児教育研究所(四谷教室)での講師を経てフリーランスとして独立。読解トレーニングときめ細かい学習コーチングに定評がある。2022年に渋谷ヒカリエ8階のシェア型書店に『みこと書店』をオープン。PICCOLITA(ピッコリータ)代表。



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