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未来像 一

今週、岡潔にこんな事を教わった。

「日本国憲法前文は人間のダメな部分を増幅させる。ゆえに日本はいずれ滅びる」と。

どこをどう読めば「人間のダメな部分が増幅される」と思うのか?考えて見たがあまりよくは分からない。だが、何か真らしい匂いがするので放っておく訳にも行かないと思うのである。これについては今後考えていく。

今回の主テーマは、もう一つの疑問、
「たかが日本国憲法前文くらいで日本が滅ぶのか?」という事だ。

自分で考えてもよく分からないので、まず松下幸之助に教えを請うた。
松下先生は、日本国憲法前文にある以下二つの文に着目された。

「(前略)、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにする事を決意し、ここに主権が国民に存する事を宣言し、この憲法を確定する。」
「平和を維持し、先制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたい」

松下先生は、自主性の無さや、他力本願的な印象を受けたそうだ。

要するに、この国の第一の目的は先の大戦の反省なのである。そしてその反省を活かし、平和を維持しようと努める国際社会をサポートする役目を負っているのである。国際社会が平和を守れなくなったら、日本はどうすることもできない。

確かに、我らが日本国憲法のお陰で日本は超大国に守られながら七十年間戦争の惨禍を被らずに、経済的にも文化的にも繁栄を謳歌できた。

しかしその消極的姿勢が今の国際情勢では裏目に出ている。
例えば、自国領土や経済安全保障が脅かされそうになっても、強気の抵抗を見せられず、二つの超大国の顔を窺ってばかりである。

現行憲法はダメなのかどうかを、松下政経塾の卒業生にも聞いて見た。
彼は、日本国憲法の中には国家ビジョンがないと言っていた。未来をこうしたいという国家ビジョンがなければ、確固とした政策を打ち出すこともできない。

確かに、国の内側を見ると衰退の兆しばかりが目立つ。

国の宝である子供が減っても、国を作るべき若者が貧困に陥ろうとも、国の基幹産業が外から潰されようとも、それを防ぎ、守るための明確なビジョンが見られない。

二人の偉人に意見を請い、私もいくらか問題点を見抜ける様になった。

そもそも、憲法前文には歴史、文化の字は一字も無い上、国民の幸福と徳を増大するという事が掲げられていない。これは、一国の、それもいやしくも世界第3位の経済大国の憲法としてどうなのだろうか。我々が自信を持って有徳・富国の民になるためには、行動指針たる憲法にその事が書かれているべきだ。