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Keicondoさんの陶器は、見て美しい、使って楽しい。〜出会いや人生をかたちに〜



幼少期より陶芸に親しみ、ボリビアの地での陶芸指導を経て、2009年に笠間に独立した陶芸家のKeicondoさん。彼の生み出す陶器は、見る人の心を惹きつけ、さらには、料理のお皿として使うことで、その魅力が一層引き出されます。陶器に秘められた想いを、ご本人にお訊きしました。


エチオピア人で陶芸家の父と伝統工芸を学ぶ日本人の母をもつKeicondoさん。笠間に生まれたときから、陶芸は身近な存在だったといいます。


ー幼少期の夢は何でしたか。

当時から、陶芸家になることを考えられていたのでしょうか。


いや、全然そんなことはなかったです。七夕に書くような夢は色々書いてたんですけど。漠然と何になりたいとか、こういう将来を送りたいというのは全く考えていなくて…。ただ作るのは好きでしたね。手を動かすというのは好きで。


ーでは、陶芸家を目指すようになったのは。


陶芸を始めたのは、窯業指導所と呼ばれる、陶芸の学校のようなところに入ったのがきっかけで…。そのときから、陶芸の道は考えていました。


ーJICAの派遣で、ボリビアで2年間陶芸指導をされたそうですね。


はい。ボリビアはどちらかと言うと、イマジネーションの修行という感じでした。2年間ボランティアとしてボリビアに行ったら、やっぱり人として成長するいい刺激にもなりましたし、もっと世界を知りたいとも思いました。そしてそのときの経験は、今の作品にも色濃く残っているなという感じはありますね。



Keicondoさんの作品には、まさに様々な人々との出会いやご自身の人生そのものが、表れています。



ー製作中は、どういうことを考えたりしながら作られていますか。


まず一つ、注文というのは生産ラインから作るものなので、そのときに考えることは単純で、肉厚だとかのポイントポイントを気をつけながらという感じです。考えるという意味では、「こういうものがあったらいいんじゃないか」というように、新しいものをこちらから提案する場合ですね。この考えとしては、やはり食器として、食材が乗ることを大前提に考えているので、そうすると、どういう料理が乗るんだろうなとか、こういう器だったらどう使ってくれるだろうなと、料理が乗ったところを想像しながら作ることが多いですね。



我々が依頼させて頂いた"極上プリン"の容器のように、リクエストから製作されることも。



ーリクエストを頂いたときは、どういうことを大切にされてますか。


ただ作るだけであれば、サイズとかを気をつけたりするんですけど、やはり作って、できあがって、渡すまでが一連の流れなので、焼き上がりの際に手触りだったりとか、例えばコップだったら、口当たりであるとか、そういう細かいところを気をつけたりします。結局、使って気持ちいいかどうかというところを、考えなきゃいけないなと思っているので。


ーリクエストをいただいて作ることと、自分で提案されることでは、違った難しさがありますよね。


はい、そうですね。単純にあるものを作るって言うのは、なぞればいいだけなので、正直そこまで色々考えることはないんですけれど…。新しいものを作るとなったら、今までの経験からもそうですけど、やはり色々気をつけることはあって、料理のことを考えたりと、頭の中が複雑になりますね。





ーKeicondoさんが考える、ご自身の作品の魅力は。


やはり、食がメインということはいつも思っていることなので、確かに僕の器は”脇役”でいいと。主役じゃなくていいということは、確かです。そのなかで、料理が引き立つような形で。色はある程度、自分の中で固定されてはいますけど、そのなかでも、より際立つような工夫をしています。食をメインとしているので、凌駕するのは器じゃなくて、影として土台として、料理を引き立たせるようなことになれば、楽しいというか、一番いいですね。




ーKeicondoさんにとって陶芸とは。


最初は、ただ自己表現っていう感じでした。

今も、ガラスなり鉄なりいろんなマテリアルがあるなかで、自己表現のために選んだのは陶芸であって…。陶芸は、人生の遊び場みたいなものですね。




陶芸と寄り添って39年。Keicondoさんが描く未来とは。



ー今後の抱負をお聞かせください。


今現在、陶芸が生活必需品にはなっていないですよね。なので、陶器がより多くの家庭で使われることによって、少しでも多くの皆さんに幸福を感じてもらいたいです。器を手にした方が、「こういう器いいな」ってなって、そこから「どこで作ってんだろうか?」「へ〜笠間っていうところがあるんだ」「どういう人が作ってんだろう?」「この人が作っている」という一つの流れができて…。器から地域と人々が繋がって、陶器がより生活必需品になる、日本の文化になるのが、一番の夢ですね。


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