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変わりゆく時代に変わらぬ味を〜服部製糖所さんが守り抜く伝統と未来〜


皆さん、"和三盆"をご存知ですか?
和三盆とは、古くより伝統的な製法で生産されている最高峰のお砂糖です。今回は、確かな伝統とこだわりをもって、創業元治元年(1864年)より徳島の地で、阿波和三盆糖を製造されている服部製糖所さんをご紹介いたします。

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知られざる和三盆の魅力


繊細な風味と甘さが特徴の和三盆。
じつは、和三盆には明確な規定がなく、製糖所によってあじわいも異なるんだとか。

服部製糖所さんの和三盆糖は創業以来、使用する原材料が徳島県産竹糖で、100%の使用。外国産や沖縄産のさとうきびをいっさい使用せず、地元の竹糖で製造されています。また、グラニュー糖を混ぜて嵩増するようなことも一切せず、これぞまさに本物の和三盆糖です。


そしてなんと、服部製糖所さんでは、この原材料となる竹糖も自社で栽培されています。竹糖は、さとうきびと比べて、収穫量が少なく希少なもの。そのため、服部製糖所さんでは、代々受け継がれてきた苗を大切に、植え付けから収穫までを手作業でされています。そうして作られた竹糖は、本物の和三盆糖を作るうえで欠かせない存在となるのです。

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竹糖から白下糖へ


収穫した竹糖をもとに、和三盆の材料となる「白下糖」を仕込む工程にも、伝統がもたらす熟練の技がつまっています。

まずは搾り。収穫した竹糖から汁を搾ります。
次に、搾り汁を沸騰させ、沸いた灰汁を丁寧にすくい上げます。この灰汁抜きは、根気がいる作業で、灰汁をしっかりと除くことで、上品な味の和三盆糖に仕上がるそう。

さらにこれを、煮詰めて撹拌することによって、余分な水分を除くと白下糖に。そして、甕に入れ、冷却結晶化させることで、和三盆糖の前段階である白下糖が完成します。

最終的に、白下糖から蜜を抜き、乾燥させて製糖したものが、和三盆糖となり、消費者である皆さんのもとへと届くのです。

なかでも、服部製糖所さんが手掛ける最上級の和三盆糖「大無類和三盆」は、2019年に開催された、G20大阪サミットのコーヒーブレイクにて利用されたものなのだそう。

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和三盆糖を使用したお干菓子。その名も"わんさんぼん"


"わんさんぼん"は、つなぎとなる水あめ等を一切使用せず、和三盆のみで作られたお干菓子です。着色料などの添加物も一切使用しておらず、からだにやさしいのが魅力。こちらの"わんさんぼん"も、G20大阪サミットの大阪・関西魅力発信スペースにて展示され、お茶屋では、この"わんさんぼん"が振る舞われたそう。



世界からも注目を集める和三盆。服部製糖所さんが守りぬく信念とは。

ー今後の抱負をお聞かせください。

原材料を「竹糖」ではなく普通のサトウキビに変えた方が、効率も利益率も良いので、あらゆる方面から、変えた方が良いとアドバイスを受けますが、そこを変えてしまったら、昔ながらの和三盆というのは世界から消えてしまいます。

そのようなことをするのであれば、いっそのこと廃業しろと先代からはいわれていますので、時代は変われど、そこは守っていきたいです。








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