累 -かさね- 全巻感想

めちゃくちゃ面白かったので、noteで感想書きます。
普段はtwitterでアニメの感想書いたりしています。

ネタバレなしの感想

まずは、ネタバレなしの感想を。
めちゃくちゃ面白かった!(2度目)
容姿が醜いということによる生きづらさが生々しく描かれている。醜いことでいじめられたり見ず知らずの人に避けられたりする酷い人生を歩んできた累が、演技という才能と顔を交換するという能力によって、運命に逆らい女優としての成功を収めていく。容姿によって判断されるという世の中の残酷さに抗う累の生涯を描いた話。美しい側にも妬み嫉みなどの悩みがあるという別の視点からの不条理も描かれている。
途中、顔を交換していることがバレないように、色々な人からの疑いの目を潜り抜けるところは本当にハラハラさせられた。また、女優であった母親やその周りをとりまく人物に過去何があったのかというのが終盤に畳み掛けるようにどんどん明かされて、最後の方は一気に読んでしまった。ミステリー好きとかにも結構刺さると思います。是非色んな人に読んでほしいと思える作品でした。

ネタバレありの感想

ここから先はネタバレあります。読み終わった人だけ読んでください。



めちゃくちゃ面白かった!(3度目)
すごいと思った部分を3つ挙げます。

1つ目は、ニナが野菊に「ころして」と頼む部分。累への復讐として飛び降り自殺したはずが生き残ってしまい、絶望する。眠り姫症候群により、眠るのが怖かったニナが今度は目が覚めるのが怖いと思ったのが印象的。累にニナとしての人生を奪われる苦痛が身動きがとれないまま続くという地獄は想像を絶する。ニナの真実にたどり着いた野菊が指1本だけが動くニナから意思を確認して実際に殺すシーンは、地獄からの解放されたとはいえあまりにも悲しかった。エグすぎる…

2つ目は、羽生田が殺したと思っていた透世が本当はいざなだったという部分。これが一番衝撃的だった。累を助けたのは透世であり、濁流に流されて死んだと思われていたいざなは生きていた。羽生田は自分の憧れの人を自分の手で殺してしまったことを知る…先生、残酷すぎます…!!同時に、野菊が母と認識していたのは透世ではなく、いざなだったということが明らかに。野菊はいざなを憎むように言われていたが、いざな本人が自分を憎めと言っていたということになる。複雑だよな…野菊からすると、自分が最も憎んでいた人物が実は自分を愛していたということを知ったことになる。この辺の野菊のやりきれなさが慮られる。顔が入れ替わるという話ならではのトリック。予想外すぎた。

3つ目は、ニナの母親の復讐。全てを知ったニナ母は顔の永久交換という形で復習を行う。死では軽すぎると言い、自分の顔と永久交換した後に累の姿で自殺を行った。累は自分の姿での初めての舞台で成功し、これからというところで、その未来を絶たれたのである程度の復讐になったと言えるだろう。(ニナの絶望と比べると生やさしいものかもしれないが。)累もやはり過去の罪からは逃げられるとは思っておらず観念した様子で終わったのが、因果応報で物語がスッキリと収まったと感じた。(このまま累が女優として上手くいくストーリーはあまりにもニナが報われないので。)

単純に累が女優として成長していく部分も面白かったし、顔の交換がバレないように、野菊やニナ母を上手く騙すのも面白かった。特に、野菊がマクベスの最終日に累を追い詰めた部分は本当にハラハラさせられた。羽生田はそれに気づき、野菊を騙していたという部分は高度な頭脳戦で面白かった。

雨野さんへの恋愛感情もうまく描かれていた。姿が変わっても累の深い部分を認識してくる雨野さん。累の内面を常に見ていたというのがわかる。累の自分の顔での演技の後に話したときも気づいていたんだろうな…過去の女優を追うなというアドバイス。かっこいい。

終盤にいざなが愛に生きたという物語が語られるのも良かった。壮絶な人生を歩んできたイザナだったが、海堂凪への愛によって動かされ、女優になれたということ。最後はきっと透世とも仲直りできたのだと思われる。(ここはしっかり描写がないからあったら良かったかなと思う。)また、羽生田の前では強いいざなを最後まで演じていた。

まとめ

途中までは普通に面白いな、くらいの感じだったが最後の怒涛の過去編によって傑作になっていると思う。この作品に出会えたことに感謝します。

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