寿司屋の若女将から受けた相談
彼女は、一昨年結婚し長子を出産したばかり。同じ街の寿司屋の若大将に嫁いできました。若大将よりひとまわり若く、くっきりした目鼻立ちでギャルっぽい印象の方です。そんな若女将から相談を受けました。
受けた相談の内容
寿司屋さんが、コロナ禍で苦戦していて、なんとか集客したいと相談を受けました。話を聞くと、お持ち帰りの寿司弁当、出前、店内飲食どれも増やしたいとのことでした。
若女将は普段、別の仕事をしていますが、長子が生まれたばかりで産休中でした。「いずれは寿司屋の女将として働きたいから何とか売上を上げたい」それから「先代夫婦が築いた常連さんとの家庭的な雰囲気を自分たちの代でも継続したい」と。ギャルっぽい見た目とのギャップもあり、その言葉に凄く感動し、微力ながら何とかできないかと考えました。
自分の店では何から取り掛かったか考えた
まず、約4年前自店のオープンの際、集客のために何をしたのか? を振り返りました。チラシを作りポスティングしたのが最初の行動でした。商売の先輩にチラシの目的を教えてもらったからです。チラシの目的は、チラシを配って集客し売り上げを作り、そのチラシの費用対効果を考えるのではなく、顧客情報の獲得だと知ったことでした。最初のチラシで52名来店し36名の方が顧客情報を教えてくれました。
今では、チラシだけでなく、ホームページ、googleマイビジネス、情報誌など、初めてのお客さんに知ってもらう入り口は増えましたが、最初の頃は、手間はかかるがお金がかからないチラシのポスティングの繰り返しでした。
そのチラシの目的ことを寿司屋さんの若嫁にも伝え、私がチラシを作ってみることにしました。ちなみに、他店のチラシを作るのは初めてです。
こんなことを考えチラシを作った
・まず知ってもらうこと(40年寿司屋をやってても知らない人は案外多い)
・若大将やこどもの写真、手書き風フォントで気を惹きチラシを読んでもらう、読みすすめてもらう
・お持ち帰りの寿司弁当、出前、店内飲食の全てを宣伝するのではなく、お持ち帰り弁当に絞り込む。販売している時間と場所を明示する
・これだけは褒められる「博多巻き」、手間がかかるので4個限定「幻と呼んで頂いているチラシ寿司」などの文言
・手土産や野球観戦の文言を入れ家庭以外でのイメージも持ってもらう
・コロナで大変、乳飲み子がいるから助けてほしい。というお願いの内容にする
そのように考え作ったチラシです。A4カラーの両面です。
たった700枚のポスティングで、食事できないほど忙しくなった
このチラシを700枚ほどポスティングすると、若大将が朝から晩まで食事をとる時間がないほど忙しくなりました。不思議と店内で食事するお客さんも増えました。「チラシ読んだよ」、「こんな所に寿司屋さんがあるって知らんかった」とよく言われるそうです。
事情を知らない常連さんと話をする機会があったので最近の店の様子を聞いてみると、「お客さんがいっぱいで注文がなかなか出てこん、しかも知らん顔のお客さんが多い」とのことでした。常連さんには少々迷惑をかけているようですが、若女将曰くお客さんが増えた、しかもいいお客さんが増えたとのことでした。いいお客さんとは穏やかなお客さんとのことです。チラシを読んで応援しようと来店された方だと思います。店の家庭的な雰囲気も持続しているようです。これが、クーポンや割引サービスでの動機付けであれば、いいお客さんは来なかったと思います。
店と店の繋がり、これからの商店街
従来の商店街といえば、ガラポン抽選会や夏祭り、1日と15日はサービスデーとかのイベントを行っていますが、どれも店の魅力を伝えるものではないし、お客さんと繋がり、繋がり続けるためのものではありません。イベント開催でその日は集客できたとしても、商店街や店自体の魅力や価値が伝わっていないので一日限りの集客で終わってしまいます。
それよりも、地域資源を掘り起こし、地図を作って地域の価値を伝えたり、店舗同士が協力して寿司屋さんのチラシのような、価格訴求でなく感情に訴えるような情報誌を作ったり、店主達とお客さんで趣味を共有して部活動を行ったり。
そうなれば自然とお客さんが楽しめる商店街、離れたくない商店街、無くっては困る商店街になると思います。
他の店と組んでやれば、自店だけでは行えない企画も実行できることが増えるし、愉しさも倍増するはずです。寿司屋さんのチラシを作ったことがきっかけで、以前よりもそう思うようになりました。他の店をどう巻き込んでいくかも考えて行動したいと思います。
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