よみがえるATM

家路を俯きながら歩いていると、知らない道に出た。目線の先に案内板。

「300m先 よみがえるATM」

「よみがえるATM?破れたお金が元通りになるATMかな。」
気になって、足が向く。着いた先には扉にMと刻まれた小屋。
扉を開けるとエコーのかかった声が響き渡る。
「今ここによみがえる!Reviving at the moment at M!」
目映い光に目が眩む。

目を開けると、亡き母の姿があった。
「お母さん?」
「まーちゃん。はじめまして。お母さんよ。」
母は最後まで懸命に生きて私を産んでくれたと、いつか父が涙ながらに語った。写真だけでしか見たことない母が今、目の前にいる。
「まーちゃん元気ないね。何かできることある?一つだけ、願いを叶えられるの。」
「教えて。お母さんは私を産んで幸せ?」
「もちろん。まーちゃんに出会えて本当によかった。」
「ありがとう。私、お母さんの分まで生きるね。」

気づけば母と小屋は消え、いつもの家路にいた。

#ショートショートnote杯

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