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若い頃が多感な理由

 お疲れ様です。今回は人間が自我を確立することについて考えたことを書きたいと思います。
 アメリカの発達心理学者・精神分析家として非常に有名なE・エリクソンが唱えた漸成的発達理論によれば、青年期(13歳〜22歳頃)の心理的課題は自我同一性、危機は役割の混乱だそうです。言い換えれば「青年期は、多くの異なる場面や状況において、自分とは何者か、自分は何になりたいのかについて考える時期である(アイデンティティ(自我同一性)の確立)。その過程で、自分が何者かが分からず悩む(役割の拡散・混乱)。」ということです。
 皆さんは、高校に行くか、就職をするか大学へ行くか、文理はどうするか、将来は何をするか、など挙げればきりのない様々なことを決断してきたでしょう。偶然か必然か、我々人間のまさに青年期にあたる多感な時期、自我確立への時期に重なるように、一般に大きな決断とされる上記のような選択が連続していると感じないでしょうか?
 自我、アイデンティティの確立を通じて、人間は自分の存在価値を確かめようとします。一方で、人間なんて似たり寄ったりで探せばいくらでも似ている人が見つかるように、そんな簡単に自分だけの価値を見出せるとも限りません。つまり、青年期が13歳〜22歳と長く続くのは、自我の確立が中々難しいことの裏返しと言えるでしょう。
 何が言いたいのかというと、青年期だから重大な決断が連続するのです。確かに、社会の構造がそうしていると言う指摘もありますが、自分は自我の確立という難しい課題に向き合う時期だからこそ、何でも真剣に自分の価値を考えて決断してしまうのです。
 人生80年、100年という長いスパンで捉えれば、青年期のあとには半世紀以上の人生が残っています。要するに、もっといい大学に入ればよかったなどと悲観する必要性は、その後の長い人生を考えれば、ないのです。むしろ、大事なのはその後です。そうは言っても素直になれないのは、おそらく自我の確立という課題に向き合っている間は、揺れ動く自分を捉えるのに精一杯で、先のことなど考えられないからでしょう。
<参考サイト>
・エリクソンの漸成的発達理論

最終閲覧
2024年5月15日21時19分

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