ヨコからヨコにつながる ヨコヨコインターン② あちこち 見る・聞く・話す
ヨコヨコインターン4日目は、
①生活介護事業所atelier ikkai-sankai(アトリエイッカイサンカイ)を見る
②相談支援の話を聞く
③障害のある娘さんと暮らす家族の話を聞く
と、盛りだくさんの内容です。
場所を変えながら、色々な人と出会い、実際に現場の雰囲気を体験したり、個人の生き方や生活を知ったり、そんな生活を支える相談支援の理解を深める。まさにヨコからヨコにつながるプログラムを実施しました。
【atelier ikkai-sankaiの日常を体験する】#自分のペースは自分で作る。
atelier ikkai-sankai(アトリエ イッカイサンカイ)では、「〇〇時になったらこれをする」という決まったプログラムがありません。
朝礼で「今日は、だれがこれする~?」とみんなで考えて予定を決める時もありますが、その朝礼に参加しない人もいます。
自分のリズムで、「これを描きたい」と思えば描いたり、輪っかを作ったり、「ゴロゴロしていたい」と思えば、ソファーに横たわってゴロゴロしている人もいます。絵は描かなければならないものではない。活動はしなければならないものでもない。絵を描いたり、紙を切って束ねたり、折り紙のわっかをたくさん作ったりする姿を「芸術活動」「アート」と名前を付けることはできるけど、本人さんたちは「芸術活動しよう」と意識しているわけでもなく、ただ自然に、自分のペースで、やりたい事をやっています。
いくつもの荷物を持参する人を見て「どうしてこの方はたくさんの荷物を持っているんですか?」と質問した学生さん、それに対して「前はもっと多かったんですよ〜」と笑顔で話すスタッフ返答を聞いてビックリ。えー!そうなんだ!でもそれは何でなんだろう?何か理由があるのかな?増える荷物の話の続きを聞いて、フムフム…と参加者の学生さんは熱心に耳を傾けていました。
【相談支援の話を聞く】The Personal is Social ー個人的なことは社会的なことーミクロとマクロの視点で生活を捉える相談支援の魅力。
知的障害児者の支援者として25年余り。相談支援専門員の仕事は15年ほど前から坂本彩さん。
大学卒業後、相談の仕事をしたい!と意気込んでいた坂本さんでしたが、その時に職場の上司に言われた言葉に大きなショックを受けます。
「支援の現場を経験した方がいい。でないとあなたは『ケースをさばく相談員』になるよ。」その後、入居施設で10年間支援員として勤務。
人の生活を24時間支えること、必要な支援とは、どういうことなのか。
その時に経験したことが今の相談支援の仕事に活きている、と話します。
今回、相談支援の魅力について、というテーマでお話ししてくれた坂本さん。
その根底には「サービスを調整する」ということだけが相談支援専門員の仕事ではない、という強い思いがあります。
「本人の悩みは言語化されるものだけではない。話を聞きながら、相手と一緒に悩んだり、困っている本人も気付いていないことを発見したりしながら解決策を共に考えていく。そういった段階を得ながら、お互い納得できる良い方法が見つかると、とっても気持ちがいい。」
相手を知り、思いを確認しながら一つ一つの選択を支えていく。
合意形成ができる関係こそが、相談支援を行う上で不可欠なことであると坂本さんは話します。「『聴く耳』を持った人の前でしか、言葉は紡がれない。人の思いというものは、相手に対して「信頼」があって初めて出てくるもの。「この人は、私の思いをちゃんと聞いてくれる」そう思ってもらうことが信頼関係の始まり、相談支援は「人生の地図」を一緒に描く仕事です。」
人と人がつながり、キッカケを作る面白さに立ち合うことができるのも、無数にある相談支援の魅力の一つなのかもしれません。
【家族の話を聞く】生きている時間は有限、やりたいことはどんどんやろう!
デザイン、おしゃれ、メイク(まつげパーマ、ネイル)、ライブ、フェス、大好きなアイドルの推し活…今回お話して頂いた織田さんの娘さんは、やりたいことや、大好きな事がたくさんある女の子です。
地域の小学校、中学に進学し、運動会では他の子と一緒にリレーや球拾いに参加。修学旅行も友人たちと一緒に行きました。その一方で夜だけ着用していた呼吸器を日中も装着するようになったり、高校進学時に胃瘻造設の手術をしたりと、日常の医療ケアが常時欠かせません。しかしだからこそ、織田さんは娘さんの事をこう話してくれました。
「生きる時間は有限。やりたいことはどんどんやろう!娘はやりたいことがあっても一人ではできない。医療ケアのある人をなんか怖いな…と避けるよりも、支援者も一緒に楽しんで欲しいと思う。」
またこれからの話についても、
「娘の今の夢は一人暮らし、だけどそのためには24時間の支援が必要。福祉の現場の職員の人材不足の問題もある、どんな形でもいい。応援してくれる人が一人でも増えるといいな。」
去年の夏は音楽のフェスに2回参加、どんな状況でも生きる楽しみは絶対ある、
みんなで支えてあげればたくさんの事ができる!と笑顔で話されていました。
「能動性を引き出す」
学生の皆さんの様子を見ていてこの言葉を思い出しました。
「私、メイク手伝えますよ!」
この言葉は、誰かに「メイクしてください」と言われて、「わかりました」と言う形で出てきた言葉ではありません。織田さんのお話を聞いて、頼まれたわけではないのに「私、それを、手伝いたいです!」と学生さんの中から自然に湧き出た思いが言葉になったものです。このインターンを企画している時には想像もしなかった、自然な共感からのつながりが生まれた瞬間でした。
次回のヨコヨコインターンはいよいよ最終日、これまでのプログラムを経験しての報告会です。お楽しみに!
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