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廃名『菱蕩』

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1927年作の短篇小説。廃名(1901-1967)、湖北出身。代表作『橋』、『莫須有先生伝』など。
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記事一覧

廃名 『菱蕩』 (1)

 陶家村は菱蕩圩[圩は堤に囲まれた低地]の土手の上にあり、城[市街地]から半里もなく、土…

廃名 『菱蕩』 (2)

 塔はさほど高くなく、大きな楓の木が高だかと塔の頭上に伸び、遠路をゆく者はいつもその木蔭…

廃名 『菱蕩』 (3)

 菱蕩は陶家村に属し、その周りには常緑樹の矮林があり、密に生えている。土手の上を歩くと、…

廃名 『菱蕩』 (4)

 聾の陳さんは、普段は「陳」の字を省略し、ただ「聾子」と呼ばれている。彼は陶家村で十数年…

廃名 『菱蕩』 (終)

 すでに日が西方の山に沈むなか、青空に覆われた菱蕩圩は緑のままで、さまざまに彩り、土手の…

廃名 『菱蕩』 (翻訳後記)

廃名の写真を見たとき、大川周明に似ていると思った。 求道的な眼をしており、そこはかとない…