企業理念への共感よりも、理念達成に必要な能力を身につけるのが大切

就職活動で、志望企業にアピールするために「経営理念や企業理念に共感していることをアピールする方法」が知られています。
「理念に共感している人は、会社のために貢献してくれるだろう」と感じてもらえるからというのが理由です。

しかし実は、企業理念はどこでも同じようなものです。ということは、どの会社でも考え方に大きな違いはなく、求められる人材のタイプも共通しているのではないでしょうか。


企業理念に自分を合わせに行くことのリスク

企業理念に共感しているアピールのために、志望企業の理念をすべて調べている人も少なくないでしょう。
中には、その企業理念から逆算して自身の体験とリンクすることを志望動機にしている人もいるのではないでしょうか。

ただ、そうやって選考を受ける企業ごとに、理念を調べて志望動機を作るために自分の経験を振り返って…というのは大変です。
そして、採用する企業側からすると、「この会社で働きたいから、自分を企業理念に寄せてくる人」は、会社の将来を託すに値する「期待値の高い人材」ではなく、「会社の指示に従い動く側の人材」です。
どうしても、前者の人材よりも評価は低く、ボーダーラインの志望者です。入社後に覚醒して成長してくれなければ、「仕事の割に高い給料を払わされている社員」になってしまいかねません。


企業理念とは何か?

では、そもそも企業理念とは何なのかを考えてみましょう。

企業理念とは、企業が社会に対して果たすべき「使命(ミッション)」を、短い言葉で表したものです。
もう少しイメージしやすくするなら、「企業が何のために存在しているのか?」「どんなことを目的として経営を行っているのか?」という問いに答えるものだと言えます。

営利目的の企業は、お客さまが求めているモノやサービスを提供し、その対価としてお金を受け取ります。それが利益の源泉であり、将来も事業を継続して、よりお客さまに満足してもらえるものを提供するための資金となります。

つまり、お客さまが必要としているものを提供すること、言い換えれば「お客さまに貢献すること」が、自然と企業理念になっているのではないでしょうか。


業種が変わっても、企業理念の本質は変わらない

「お客さまに貢献すること」が企業理念となっているのであれば、業種が異なっても大きな差はないはずです。
そこで、異なる11業種でのトップランナー企業の理念をならべてみました。

※「企業理念」以外にも「ミッション」「経営理念」などの呼び方がありますが、各社の「存在意義」に関わるような部分を取り上げています

企業理念(11業種11社)

自社の業務領域に関する言葉が入っているかという差はありますが、本質的な理念はいずれも共通していることがわかります。

誰に貢献するのか?
・人々
・社会
・未来
・世界 など

どうやって貢献するのか?
・テクノロジー
・クリエイティビティー
・イノベーション
・創造
・革命
・変化 など

これらからわかることは、企業理念とは基本的に「時代とともに変化していきながら、社会全体に貢献し続けること」と言えます。


企業理念の本質を実現するために必要な能力とは?

企業理念の本質が共通しているのならば、理念を実現し企業が発展していくために必要な人材像も見えてきます。

社会に貢献するためには、「今の社会が抱える課題を知って」いなければなりません。
そして、課題を「解決する方法を考える力」「解決への実行力」が必要です。組織で動くためには、リーダーの意図を「正しく理解する力」が必要だし、部下を持つ側であれば「正しく翻訳して伝える能力」が不可欠です。

今、世の中にないものを生み出すことで、貢献することができます。
新しいことは誰も知らないことです。誰も知らないことなのだから、どこにも答えなどありません。未知の課題を想像し、「考える力」が必要です。
課題解決するためには、解決手段を見つけなければなりません。これまでは不可能だったことが、新技術によって解決に導かれるかもしれないので、「新しいことを知る・身につけること」も大切です。

しかし、これらすべての能力があっても充分ではありません。
「自分の頭で考え、自分から動くこと」が大切です。

企業が求める人材は、「主体的に行動ができ、理念を実現するために必要な能力を何か持っている人」と言えます。
極端に言ってしまえば、必要とされる能力を持っている人は、どの会社も求める人材です。各社がどの能力を最優先するかの差はありますが、そんな能力を身につけていれば、働きたいと思える業種の中で、あなたと相性の良い企業が見つかる可能性はとても高くなるでしょう。


まとめ

企業理念は、多くの企業で本質的に共通しているものです。
企業理念に合わせに行く志望動機こそ、「他でも通用する志望動機」と言えます。
就職活動に向けての限られた時間を使って、自分から「能動的に」何かをする体験を通して、どんな企業でも欲しがる能力を持った存在になって欲しいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?