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神さまとジェダイ戦士

 こんにちは。4ヶ月ほど、髪をカットしていない露原耀袴です。

 12月からはじまったロックダウンが、また一部解除になり、これでようやく、この伸び切った毛を刈り取ってもらえると、喜び勇んでお店に電話したのですが、70人待ちだそうです。

 イギリスで大流行の「ザ・ロックダウン・ヘア」スタイル。しばらくお付き合いが続きそうです。

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 ここ数年、ある習い事をしています。もちろん、ロックダウン中は、Zoomを使用しての教室でしたが、先週からインドアでの開催が可能になりました。

「せっかくまた教室に行けるようになったのに、残念だけど、ラマダンだから」と、クラスで一緒の女性が、そう言って今月はおやすみすることになりました。

 ラマダンは、イスラム教徒の人が、断食を行う月です。大体、ひと月ほど続きます。もちろん、1ヶ月ずっと、飲まず食わずというわけではなく、日の出前から、日没までという決まりです。お日様が出ている間は、水も口にしません。食の他にも、いろいろ禁止事項があるようです。

 私たちの習い事は、いわゆるマーシャルアーツと呼ばれる系統のもので、結構、体をつかいます。終わった後は、全身汗だくです。めちゃめちゃお腹空きます。翌日は筋肉痛で、階段を上がり降りするだけで、涙がちょちょぎれます。 そんな様子ですので、たとえ日が出ている時間だけでも、水も食べ物もとれない状況で稽古するのは厳しいわけです。

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 10年前のイギリスの国勢調査で、「自身の宗教」の項目に、ジェダイと答えた人が17万人ほどいたようです。ジェダイって、スターウォーズの戦士ですよ。フォースと共に戦う方々が、こんなに多くイギリスに住んでいたとは驚きです。するとなんですか、フォースが神さまで、ヨーダが法皇とか僧正って感じって理解でいいのでしょうか?

楽しそうですね。

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 数年前、近所の図書館で子どもと本を読んでいるときに、カソリックのシスターと出会いました。ナイジェリア出身の、お年を召した女性で、若い頃は、幼稚園の先生をしていたそうです。子ども好きらしく、まだ小さかった私の娘の相手をしてくれながら、しばらくおしゃべりをして、別れ際に、

「良かったら、お子さんの為にもらってください。ご存知かわからないけれど」

と、マザーテレサの写真が入ったお祈りカードをくれました。知っています、知っています。カソリックも他の宗教も、あまりよく知りませんが、流石にマザーテレサくらいは知っています。「もちろん、存じていますよ!」と、心持ち強めに答えると、とても嬉しそうでした。遠い日本では、あまり知られていないと思われていたのかもしれません。

 綺麗にラミネート加工された写真の一部に、小さな布の切れ端が埋め込まれています。マザーテレサの服の一部のようです。裏を返すと、イタリアの住所とその下に、こう書かれていました。

「身の回りで、奇跡の体験をされた方は、こちらにご一報ください」

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 イギリスに住んでいると、「で、あなたの宗教は?」と聞かれる機会が多いです。一般的に、宗教の話題はタブーと言われますが、結構聞かれます。まあ、うっかり踏んでしまいそうなタブーではあるので、サラッと聞いておいた方が安全、ということもありますね。

 子どもが学校に通い出すと、色々な行事を習ってきます。クリスマスにキリスト誕生の劇をしたり、チャイニーズ・ニューイヤーでドラゴンの絵を描いたり、イースターで卵を探したり、ヒンドゥ教の光のフェスティバル「ディワリ」で、ろうそくを作ったり、と年間を通して何かしらあります。ロンドン郊外の学校ですので、人種も宗教もひとクラスにいろいろありまして、先生に指名されて、家で祝う行事の話をクラスのみんなの前で話すこともあります。時々、親の協力を頼まれることもありまして、ユダヤ人の両親がクラスに来て、ハヌカのお祭りのことを教えてくれたこともありました。

 こんなふうに、学校に協力的で教育に熱心なご両親を見ると、ものぐさな自分も、何か子どもたちのためになるような手伝いをしたいような、などとそんな気がしなくもないような、あるような気になることがあります。いや、ごめんなさい、嘘です。ありません。できません。ガイドのくせに人見知りなんです。お話しできるようなこともないです。

 クリスマスにお祝いをし、日本にいればお墓参りに行き、神社にお参りして、と、自由気ままに行事に参加していますが、私自身は、特定の宗教に属していません。夫は(一応)カソリックの家庭で育ったので、子どもたちが教会のミサなどを体験させてくれればと思いますが、その先はもう少し大人になって、自分たちで考えて決めてくれるでしょう。

「宗教をもっていない」というと、よく誤解されるのですが、それは神さまを信じていないこととは違うんですよ。

それは例えば、ピンチに陥って「誰か、神さま助けて!」と嘆願するとき、真夏の蒸し暑い日中に、フッと吹いた涼しい風、困ったときに助けてくれた、自分以外の誰かや何か。決して、自分ひとりで、生きてこれたわけでないことを、信じているわけです。

 まあ、それを神さまと呼ぶひともいるでしょうし、全然ちがうわと怒るひともいるのでしょうね。

 今、私がいるところはとてもお天気がよく、正午を少し過ぎた時間です。それでは、良い一日を。そしてフォースと共にあらんことを!




 

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