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ヘルスケアコミュニティで哲学対話をやってみた

どうも。
コミュニティ運営や理学療法士のお仕事をしているよこたつです。

今回は、自分の所属しているヘルスケアSHIP というコミュニティ内で哲学対話をやってみて、色々と考えることがあったのでそれを文章にしておきたいなと思い、このnoteを書いています。

後にも書くことにはなりますが、医療・福祉・介護の現場に居る人にとって、哲学対話って実はすごく大切なんじゃないかと今回の機会を通じて感じました。なので、そんな感じのnoteになるかと思います。

活動はコミュニティの企画の一部として

今回、「哲学対話をやってみよう!」となったきっかけは、ヘルスケアSHIPで毎年行っている「SHIP 夏の自由研究」という企画があったからです。

この「SHIP 夏の自由研究」は、小学生の頃に誰しもが経験する夏休みの自由研究を大人がガチでやってみたら面白いのでは?って発想から始まった企画。
始まりの経緯はそんなところですが、なんせ忙しい大人が集まっているので、実際のところは “無理なく” がポイントです…笑
(自由研究の過去の内容はこちら

そんな自由研究では、毎年6~8つほどのテーマを決めてグループに分かれていくのですが、今回は自分がやりたくてしょうがなかった「哲学」をテーマに入れてもらうことができました!

そういった流れから、「哲学」のテーマの中で “哲学対話をやってみる” というのが今回の活動内容になりました。

哲学対話って?

「哲学対話」とワードだけ聞くと物凄く難しいというか、堅苦しい感じがしてきますよね。

扱うテーマにもよるところはありますが、実際はそこまで構えずにといいますか、話したいテーマ・問いについて着飾らずに話しながら考えを深めていく過程なんだと思います。

哲学対話をする上での ”お作法” みたいなものはあるのですが、細かいルールや定義があったりする訳ではないようなので、結局のところ構えずにみんなで話すというのが大切なんだと思われます。

哲学対話をしてみたいと思った理由

そもそも、今回の自由研究でなぜ「哲学」をテーマに据えて哲学対話をしてみたいと思ったか。その話にも触れておきたいと思います。

きっかけとしては、普段自分がしているお仕事の領域が関わっています。
自分は普段、理学療法士という資格を用いて、病気や障害によって暮らしに不自由な事が生じてしまった方への支援を行っています。
理学療法士の働く領域にも様々ありますが、「生活期」と呼ばれる病院を退院して住み慣れた家に戻った方への支援をしております。

病院であれば「病気やケガを治す」という目的が存在するので、大きく目的を見失うことは比較的少ないのではないかと思いますが…
「生活期」では、病気やケガの後遺症が暮らしを妨げている場合に、身体の機能を改善する以外に、家の中に付けられる手すりなど福祉用具を駆使したりなどして、ご本人やご家族が望む暮らしがどうしたら実現できるかについて考えることになります。

「病気やケガを治す」という比較的明確な目的ではなく、「ご本人やご家族が望む暮らしを目指す」ということは、場合によって曖昧さを含みます。

「その方らしさ」とは何か?
「良い暮らし」とは何か?

時には、そういった抽象的な問いが頭の中をぐるぐるするようなこともあります。世間でよく言われる「リハビリ」という言葉、「リハビリテーション」というのは、実は誰しもに共通する明確な答えがなく、複雑な概念なんだなというのをこの仕事をしていると多々、思うことがあるのです。

話が長くなってしまいましたが…
仕事をしていて出会うそういったいくつもの抽象的な問い
それらと向き合うのには他者と哲学対話をするのが良い機会なのではないだろうかと思ったのが哲学対話をしてみたいと思った理由です。

どんな哲学対話をしたか

では、実際に活動の中でどういったことをしたのかご紹介します。

今回、主に活動を一緒にしたのはコミュニティの中の5人でした。
このメンバーのうち哲学対話をしたことのあるメンバーも居たのですが、したことのないメンバーが大半だったため、哲学対話をお仕事でされている人にファシリテートをお願いすることに。

そこで哲学対話のお作法(他人の意見を最後まで聴く、わからなくなってしまってもいいなど)をお聞きして、テーマを出すところから試しにやってみました。

試しも含めて、実際に行ったテーマは

✔ 自分らしさとは何か?
✔ 関係の質とは何か?
✔ 他者の価値観を受け容れるには?

の3つでした。
このテーマを決めていく過程も、「なんでそのテーマを思いついたの?」などと対話的に進められたりして、面白かったなと感じています。

哲学対話をやってみてどうだったか

上記のテーマで哲学対話を行ってみて、どうだったかなと考えてみると…

『自分一人で考えるだけじゃ見つからないことが見つかった』
『考えが深まっていくのが感覚として分かった』
『これ、医療職の教育にあった方が良いのでは…?』

というのが端的な感想です。

答えの無いような抽象的な問いであっても、それぞれの価値観を持った個々人が集まって対話を深めていくことで色んな視点・思考の補助線みたいなものが生まれていく
そういった過程を楽しみながら行えるのは哲学対話の良さだったかなと思います。

哲学対話を行う前後の変化では、“相手に価値観を問う” という行為がしやすくなった気がします。
上にも書いたように仕事柄、相手に価値観を問うことはあるのですが、それをフランクに行えるようになったといいますか、『素直に、率直に聞いてみればいいじゃん!』と思えるようになったのは大きな変化でした。

それと同時に、キュアからケアへと文脈が変わってきている近年の医療現場では、こういった過程が大切なんじゃないかとも思いました。

『目の前の人の “幸せ” って何なんだろう?』

と、関わる相手の事を思いながら、問いを抱えながら接していくことがこれからはより一層求められてくるんじゃないかとも思うので、そういった状況なら哲学対話って物凄く重要なんだと思います。

以上が、ヘルスケアコミュニティSHIPにて哲学対話をしてみた感想でした!
今回の体験を通して、哲学対話が好きになったので、またどこかでやれたら良いなと思いますし、医療職・医療系学生と一緒にやれたら嬉しいなと思っているので、そんな機会に恵まれますようにと願ってこのnoteを終わりにしたいと思います!

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!

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