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【読書】民族という名の宗教 / なだいなだ

#なだいなだ #民族という名の宗教

読了。人は何に動かされ、誰が動かしてきたかが非常にわかりやすくまとめられていてとても勉強になる。良書。

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太古の昔から遡って、他の動物と人間の違いとして挙げられる「身体的武器がないこと」が集団を作る条件であったことを指摘するシーンからはじまり、現代に至るまで、他の動物や他の集団など敵は様々であれど、「多勢に無勢」が平和のための基本ルールであったことが前提として論じられていた。

数を手に入れるためには、家族や近隣の付き合いを含めた小さなエスニックコミュニティである「部族」を横断して、より大きくまとまる必要が出てくる。そのまとまりをつくるために用いられたものが、例えば「宗教」であり、国家としてのまとまりを意図した「民族主義(ナショナリズム)」や「社会主義」などのイデオロギーであり、それを浸透させる方法論として戦争なんかも多発していた。
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史実をこうした観点から読み解いていく筆者の主張から、国家や宗教、イデオロギーなどのほとんどがフィクションであることがよくわかります。誰かが意図して創作した情報の中で生きているんじゃない?ってことです。

いま当たり前に過ごしている日常は、身の回りだけで考えるとほんとに平和だなと思うけど、長い歴史の中でこの平和はどのようにして、誰が作ってきたものなのか、いま目指すべき平和には達しているのか、それとも道半ばなのか。それが良くても悪くても、その現在地を正しく捉えることは、自分自身の立ち位置を知り、今後の身の振り方を見定めるための必要条件だと思っています。

トランプ大統領が非難したように、国際機関であるWHOでさえ完璧ではないことがわかった。黒人差別の名残でまだまだ平和に暮らせない人たちがいることが、直近の騒動で再度明らかになった。全国家が目標に掲げているSDGsのように、資本主義に統一された世界では考慮さえされなかったであろう社会主義的抵抗が正しいアクションとして採択されるようになった。

いつだって世界は動き続けていて、自分自身の生活とは切り離せない「連続した事象」であることをどこまで理解し、想像できるか。これが本当に重要だと思っています。また、この情報社会の中で、今までにないくらい、より事実に近い情報に触れることもできる、最高な時代だと思っています。

もちろん、正しく情報を取捨選択する力は前提として問われるので、多様性を受け入れて偏見をなくし、スコトーマを外し、認知の歪みを小さくし、実際に起こっていることをそのまま捉えられる言語能力を身につけることが重要になってきます。

だからぼくは、読書をして、映画を観て、教養のある人と一緒にいながら学び続けようと思っているし、なんやかんや団体戦だとも思っているので、みんなで勝ちに行けたらいいなとも思ってます。

ぼくの価値観の上位にくる「哲学」が上位たる理由は、大方ここにあります。人生で経験できる感動体験を増やしたいという理由が大きいですが、生き延びるためのサバイバル術のひとつとも言えるかもしれません。

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