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フレイムフェイス 異界迷宮攻略班

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異次元を映し出す『海』に囲まれた国家、輪海国エルガディア。 水平線無きこの世界が、一体何を礎として成り立ったのか。 知る者は、知ろうとする者は、覚えている者さえも、あまりに少ない…
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2022年6月の記事一覧

フレイムフェイス 第十一話

フレイムフェイス 第十一話

猛撃のディープレッド (5) 怒り。
 剥き出された攻撃性が、ギューオの相貌を歪める。

「ぬ、か、せッ!」

打突、打突、打突、打突。今までより更に鋭さを増す連続攻撃。その全てをフレイムフェイスはやはり防御し、防御し、回避し、受け流す。

「るあッ!」

そのうちの一打、風を切る強烈なフックを、フレイムフェイスは紙一重で躱す。当然ギューオは遠心力を利用した追撃を、しかし放てない。
 手首。吸い付

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フレイムフェイス 第十話

フレイムフェイス 第十話

猛撃のディープレッド (4)

幾つかの通路、幾つかの扉、幾つかの部屋。それらを抜けた先、唐突に開けた空間。
 じっくり見回しながら、フレイムフェイスは呟いた。

「これは、これは」

一歩、踏みしめる。感触も、反響音も、乾いたコンクリートそのもの。柱も、天井も、きっとその通りだろう。
 広く、何もない。工事中のようなビルフロアのような広間が、そこにはあったのだ。

無造作に進むフレイムフェイス。

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フレイムフェイス 第九話

フレイムフェイス 第九話

猛撃のディープレッド (3)

 時間は少し遡り、アンバーを乗せた輸送車両が発進した少し後。
 サイアを筆頭とする一般防衛隊員達も各種車両に乗り込み、車列を作って走り去る。後に残ったのは所轄警察と、救護支援目的の一部防衛隊員達。
 そして、カドシュであった。

「では、さっそく始めましょう」

カドシュの掌中、プレートに表示されたフレイムフェイスが促す。彼はアンバーの車両を制御していたのとは別個体

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