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2020年1月の記事一覧
神影鎧装レツオウガ 第七十話
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Chapter09 楽園 07
「さて。改めて状況を確認しよう、手短にね」
コンテナ上から諸々の指示や説明を終えた巌は、再確認のためもう一度皆を見回した。
その口調に、いつもの間延びした感じはない。
「ざっくり言ってしまうと、いい話と悪い話がある訳だ。どっちから聞きたい?」
「そりゃあ定石通りじゃろ」
即答したのは、腕組み姿勢の雷蔵《らいぞう》であ
神影鎧装レツオウガ 第六十九話
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Chapter09 楽園 06
「あーあー」
一面を塗り潰す薄墨色に、巌は盛大な溜息をついた。
予想以上に早く向こうが馬脚を現したから、というのはある。
現状が向こうの思惑通りに進んでいるから、というのもある。
だが今は、焼肉がが幻燈結界《げんとうけっかい》の向こうへ行ってしまったのが何より痛い。
巌はまだ食べていなかったのだ。
「参っちゃった
神影鎧装レツオウガ 第六十八話
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Chapter09 楽園 05
辰巳は、絶句した。
「……」
言葉が出ない。どうしようもなく、グレンの顔に釘付けられてしまう。
無理もない。色以外、自分とまったく同じ形をした顔が、いきなり現れたとあらば。
――想定した事がなかった、と言えば嘘になる。
二年前。五辻辰巳《いつつじたつみ》を保護したその日から、凪守《なぎもり》はその素性を掴むべく
神影鎧装レツオウガ 第六十七話
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Chapter09 楽園 04
――少し時間をさかのぼり、辰巳が目隠しをつけていた頃。
「ああ、クソが」
モーリシャス某所。この日十四度目になる悪態を、グレン・レイドウは臆面も無く吐き捨てた。
シャツとデニム。随分とラフな格好をしているグレンは今、とある部屋の壁際で腕組みしていた。
あえて一言でこの場所を表すなら、ガレージ、だろうか。
床は十メ