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2019年9月の記事一覧
神影鎧装レツオウガ 第五十四話
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Chapter06 冥王 18
「あー」
気の抜けきった声を上げながら、巌は扉を開ける。
ファントム・ユニット執務室。壁掛け時計を見上げれば、時刻は午後二時少し過ぎ。
途端、空腹を訴え始める胃袋。時間の間隔を思い出したのだ。
腹をさする巌。だが今から食堂へ行っても、ごはんが出るまで大分時間がかかってしまう。
「どーすっかなあ」
「なぁに、ここで食
神影鎧装レツオウガ 第五十三話
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Chapter06 冥王 17『kill me』
三百年以上前。地獄の火クラブが終焉したその日から、ひたすらに自身の再生を求め続けてきた男達の、最初で最後の懇願。
その重さに、コクピット内の誰もが、一瞬言葉を失う。
『殺してくれ、か』
ぽつりと。
静寂を最初に破ったのは、モニタの向こうに居る冥《メイ》だった。
『よもや、僕の前でそんな妄言を吐くヤ
神影鎧装レツオウガ 第五十二話
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Chapter06 冥王 16 某所。
高級な調度品と、魔術的な品々が違和感なく調和している執務室。
その主たるザイード・ギャリガンは、部屋中央の机にゆったりと座っている。
頬杖。リラックスした姿勢。だがその目だけは、バインダーにファイルされた書類を淡々と追っていた。
「……」
一枚、また一枚。じっくり見据える書類の上には、忙しい筆記体のアルファ
神影鎧装レツオウガ 第五十一話
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Chapter06 冥王 15
神影鎧装バハムート・シャドー、その中枢たるフレームローダーのコクピット。
コンソールを制御する怪盗魔術師は、ひとまず頷いた。
「……よし」
取りあえず、目下の敵であるオウガと距離を離せた。後はニュートンの遺産の再封印が完了するまで、どうにか時間を稼げれば良い。
撃墜は不可能だろう。確かにこちらのブレス砲撃――正式名