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「輪島のゆべし」と「東北のゆべし」

はじめましての方も、いつもお立ち寄りいただいている方も、ようこそお越し下さいました。フードコーディネーターのNYです。地場産品のマーケッターを目指して日々奮闘中です!

さて、今回は石川県応援企画の第2弾。
食に共通する話を探していた中で、面白い共通点があったので、そちらを記事にさせていただきます。

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石川県と東北の共通の食文化

それは「ゆべし」です。

私は「ゆべし」と言えば東北の醤油で色付けし、くるみの入った餅菓子のことしか知らず、実は石川県の輪島市で作られている「柚餅子(ゆべし)」の存在を知らなかったんです。

まずは柚子を使った輪島のゆべしについて調べてみました。

能登輪島の丸柚餅子(まるゆべし)

丸柚餅子は、柚子の中身をくり抜き、味付けしたもち粉を詰めた和菓子である。表面は飴色で、爽やかな柚子の香りや上品な甘さ、柚子特有のほろ苦さが特徴。秋に収穫される旬の柚子を使用するため、製造は一年に一度しか行わない店舗が多い。お茶請けや酒のつまみとしてそのまま食されたり、茶碗蒸しやお吸い物などの料理に使われたりする。

農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」

丸柚餅子の起源は、源平時代の保存食や携帯食だったと言われる。丸柚餅子の原型が登場したのは室町時代の古文書で、当時は塩辛かったという。
~中略~
丸柚餅子は長期保存ができるため、全国各地のお得意様を訪問していた輪島塗の行商人の携行食や、顧客への手土産としても重宝され、各地に広まったとされる。輪島塗の行商人は、長期にわたる行商により丸柚餅子が硬くなると、蒸し直したり炙ったりして柔らかくし訪問先で振る舞ったという。

農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」

この文献の内容を見ると「ゆべし」は柚子を使ったものが発祥のお菓子だということが想像できます。特に西日本は柚子を使ったものが多いようですが、発祥の地は諸説あり、定かな情報は分かりませんでした。

そこから東北に伝わっていく途中で、柚子を使わず、くるみの入った餅菓子に変容していったのかもしれません。

残念ながら東北のゆべしについては公な文献が見つけられませんでした。ネットで調べた概要を説明しておきます。

醤油ベースに砂糖や黒砂糖を加えたものが多く、甘じょっぱい味付けです。色や形もよく見かける四角い薄茶色いものから白いもの・黒糖が入った色の濃いもの・三角・貝殻のような丸いもの・細長いものなどバラエティ豊かです。昔、東北では手に入りにくかったユズですが、貴重なユズが入ったクルミゆべしは明治神宮に奉納され、献上銘菓として有名になりました。

ご当地情報局 ユズだけじゃない!?宮城県などの東北地方では、「ゆべし」に何を使う?

東北のゆべしは宮城・福島・山形で形が異なります。

宮城のゆべしはこんな感じ。くるみゆべしと言えばこれを想像する人が多いと思います。岩手のゆべしもこのタイプが多いですね。

宮城 甘仙堂 ゆべし

山形のゆべしは宮城のゆべしと同じ形の他に、こんな形のものもあります。お恥ずかしながら、これも初めて知りました。

山形 作和庄(さわしょう) 伝承ゆべし

福島のゆべしも宮城のゆべしと同じ形もあれば、こんなものもあります。

福島 かんのや 家伝ゆべし

かんのやの家伝ゆべしは餡が中に入った弾力のあるゆべしで、私が東北のゆべしの中で一番好きな商品です。(岩手の菓子メーカーさんスミマセン)

今回、東北も含め「ゆべし」のキーワードで、いろいろと調べた中で、地域のゆべしが数多く出てきたことに驚きました。

「富山南砺市のゆべし」「徳島のゆべし」など、その土地ならではのものがあって、とても興味深いものでした。

日本の食文化や地方の食文化は、まだまだ知らないことがあるなと改めて思いました。

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ということで今回は石川県・輪島市のゆべしと東北のゆべしをご紹介させていただきました。

ご存じのとおり、輪島市は地震と火災で甚大な被害を受けており、丸柚餅子の製造メーカーも例外ではありません。


丸柚餅子の中浦屋さんはSNSで復興に向けた前向きな投稿をされています。東日本大震災の時に岩手にご支援いただいた経緯もあるようなので、これからも応援していきたいと思っています。

https://www.facebook.com/yubeshi

それでは、また次の記事でお会いしましょう!


奇跡の一本松。今日は陸前高田市から投稿しています。





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