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どのお母さんも、多分、家では子ども達のミシュランシェフ。

子育てをしていると、
美味しく食べさせることって
案外難しいなと感じる。

あ、ちなみに私は
いつでもどこでも何でも
割と美味しく食べることができる。

食べることが好きだし、
好き嫌いも全然ない。

前の晩から、
明日の朝は何を食べようか考えるし、
なんならそれを活力に目覚める。

今は妊娠中の身なので、
最近は出産後に食べる
寿司や生牡蠣のことばかり考えている。


美味しく食べさせることが難しいのは、
我が家の子ども達の話。


例えば長男は、
それはそれは偏食だった。

(↑今から4年ほど前の長男の話)


そもそも、産まれてすぐに
おっぱいやミルクだけで生きてきた赤ちゃんが
最初に食べる離乳食も
本当に食べるの?この子が?大丈夫?
って不安だった。

一生おっぱいやミルクで生きていくはずないのに、
初めてそれ以外のものを食べさせる時は
物凄いドキドキした。


更に言うと、
離乳食を作るのが大変すぎてビックリした。

皮や種やらを丁寧にとって、
クタクタに煮た野菜を
ブレンダーにかけたり、
こしたり、すり潰したり、
もう信じられないくらいの手間と工程を経て
喉越しの良い液状にする。

こんな時間かけて、私は何を作ってんの?
ミシュランガイドに載ってる店の
白身魚に添えるソースかなんか?

料理を作るのは好きだけれど、
息子に初めて食べさせる物かと思うと
話が変わってくる。
もしこれでお腹壊したらどうしよう…
どうせなら美味しく食べて欲しいし…
と、レシピを隅から隅まで読んで
きっちりやらないと不安になってしまう。

トマトを食べさせたときなんて、
トマトってほぼ皮と種とドロっとしたヤツで、
赤ちゃんが食べられるところ無いじゃん!
なんで大きなトマトから、
小さじ2くらいの量しか離乳食って出来ないんじゃー!
と、グッチャグチャになったキッチンで発狂しそうになった。

しかも、ミシュランのシェフなら
世界的にも価値ある星が貰えるからいいけど、
お母さんはそんだけ頑張っても

「うぇ!なにこれ?
すっげーまずっ!」

みたいな反応が赤ちゃんからくるので
膝から崩れ落ちそうになる。

いやぁ、だって味つけてないもんね。
素材の味を楽しんでもらいたい店なんで、うちは。
良かったら今後ともご贔屓に。
常連客になってくれりゃあ、
数ヶ月後にはサービスで、ほんのり味付けしますんで。

ようやく出汁をあげられるようになった時期には、
取り憑かれたように色んな出汁をとった。
旨味成分てサイコー!
と言わんばかりに、
出汁と離乳食を組み合わせて食べさせた。
これぞ、赤ちゃん専用ミシュラン店の
腕の見せ所である。

まぁ不味そうな顔してる息子も可愛いし、
酸っぱい顔の息子も可愛いし、
おかわり欲しがる息子も可愛いし、
口の周り汚して美味そうに食べる息子も可愛いし、
結局どの瞬間も動画で撮っちゃうのよね。
不安だったはずの離乳食も、
気付けば
「今日の食材は、どんな反応するのかな?」って
ワクワクしちゃうしね。
母親ってそういうもんなのよね。

そして、2人目を産むと、
最初と違って全然テキトーな離乳食になるんだけど、
テキトーに作ってもお腹は壊さないし
よく食べてくれるから
〝あー、はいはい。
こんくらいでも大丈夫だったのね〟
みたいな自分が楽できる
ギリギリのテキトーなラインを攻める感じになる。
母親ってそういうもんなのよね。

あんなに何かを食べさせるのが不安だったのに、
あんなに何も食べられなかったのに、
いつしか息子達は大きくなって、
食べられる物も大分増えてきた。
好きな食べ物も大分増えてきた。

不思議なのは、
兄弟で好みが真逆なこと。

例えば、
長男はラーメンが好きだけど、
次男はそこまで好きじゃない。

次男はくだものが好きだけど、
長男はそこまで好きじゃない。

ショートケーキを食べる時は、
長男はイチゴをよけてスポンジとクリームを食べ、
次男はスポンジとクリームをよけてイチゴを食べる。

オムライスでは、
長男はまわりの卵が好きで、
次男は中のチキンライスが好き。

お子様ランチでは、同じものを出しても
長男はカレーとポテトを食べて、
次男はカレーとハンバーグとブロッコリーを食べる。
付け合わせで残ってるものが真逆。

つまり、2人の間に一皿おけば、
我が家の兄弟は2人で一皿を完食する。
ニコイチな兄弟なのだ。


こうなってくると、
大変なのがご飯のメニュー決め。

今のところ2人ともが大喜びするメニューは
なかなか限られてくる。

さらに言うと家族皆が大喜びするメニューは
もっともっと限られてくる。

私は本当のシェフになった気持ちで、
毎日献立を考え、
息子達が「美味しい!」「おかわり!」と言ってくれるように、
具材の切り方や火の通し具合、味付けを試行錯誤する。

お皿によそう時も、
2人の好きそうな具材を意識して
盛り付け具合を変えながらお皿によそう。
それはもう、ミシュラン店ならではの
それぞれの常連さんへのおもてなしの心っていうかさ。

特別な日には盛り付け方にもこだわる。
ケチャップで顔書いたり、
飛行機の形のご飯にしたり。
普段はできないけど、
食事は目からも楽しめた方が良いしね。
ほら、そういう心遣いってミシュラン店っぽいでしょ?
たまにしかやらんけどね。たまーにしか。

時には体験してもらって、食を楽しんでもらう。
パン生地を作って好きなもの入れさせたり、
旦那の開くおにぎり屋さんで具材を注文させたり、
ピザのトッピングさせてみたり。
ほぼ、作ってるのはシェフですが、
お客様の好みにカスタマイズしていただくのも
ミシュラン店ならではの遊び心かと。

「いただきまーす!」の声のあと、
チラリと息子達を見る。

お?今日はご飯が進んでるねぇ。
よしよし。
おかわりするかな?どうかな?

逆にちょっと食感が気になったり、
ちょっと味付けが違ったりすると、
すぐに息子達のご飯の手が止まる。

あらら。
今日のメニューは長男にはイマイチだったか。
もう少し細かくすれば良かったかな?
もう少し煮込めば良かったかな?

2人の姿を横目で見ながら
反応を探る。
これはもう私の癖になっている。

もうね。
食べないなぁと思う時には、
親的には、野菜と炭水化物とタンパク質さえ摂れば良い。
栄養素を満遍なく体にいれてくれりゃあいいから。
一口ずつでいいから食べてくれ。
それでも食べないなら、明日へ期待。
学校や保育園で給食も食べてるし、大丈夫でしょ。
そういう思考回路になる。
母親ってそういうもんなのよね。

でも息子達が

「うっま!おかわり!」
「ママのご飯ってサイコー!」

と喜んでくれた時は
ミシュランの星を貰うより価値があるなぁと感じてしまう。

よし!次も美味いって言わせるぞ!と
心の中でガッツポーズをする。
さっきは栄養素とかごちゃごちゃいったけど、
結局「美味しい!」って食べて欲しいのよ。
結局ね。
母親ってそういうもんなのよね。



最近、サーモンの刺身を食べられるようになった長男。
でもまだ酢飯は苦手なようで
サーモンと白米の組み合わせを楽しんでいる。

いつか息子達とも
一緒に寿司を楽しんだり、
生牡蠣をすすったり、
ブルーチーズ食べたりしたいなぁ。

油でジューっと焼いただけの茄子に
醤油とおかかと生姜かけるのが
最高だって思って欲しいなぁ。

グリーンカレーとか
トムヤムクンとか
ハイナンジーファンとか
異国の料理を作ったら
「うんまー!」って食べて欲しいなぁ。
ママ、ほんとは得意なんだよ。

旬の食べ物を出したら、
「おー!もう秋だね!」なんて
喜んで欲しいなぁ。

子育てをしていると、
美味しく食べさせることって
案外難しいなと悩むことも多かったけれど、
あんなドロドロの離乳食を食べていたのが嘘のように、
息子達は食べられるものがどんどん増えている。
食べることがどんどん好きになっている。

同じものを同じように美味しく感じるのは
もう少し先になるだろうけど、
今は息子達の専属シェフの期間。
その楽しみはとっておこう。

それまで、
ある時はラーメン店主、
ある時は野菜クタクタの焼きそば屋、
ある時はコトコト煮込んだ甘口のカレー屋に変身して、
私も修行を積もうじゃないの。


さぁて、noteも書いたし、
今夜のご飯は何を作ろうかな。

どのお母さんも、多分、家では子ども達のミシュランシェフ。
だと、思わせてくれ。

ちょっと息抜きしたから、
そろそろ家族のために動き出そう。

母親って、そういうもんなのよね。

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