赤ちゃんの出す〝イイ音〟
歳を感じる。
37歳の私がこーゆーことを言うと
きっと私より年上の方々にはイラッとされる。
私も26歳くらいの人に
「ほんと最近歳とったなって思ってぇ〜」
とか言われると、イラッとするから。
そして私より年下の方々には
「へぇ〜…」
と何とも言えない顔で言われるのも知ってる。
私も自分より年上の方に歳について言われたら、
一体どんな反応が正解なのか分からず
「ほぉ〜、そうなんすねぇ〜…」
みたいな感じになるから。
それを分かった上であえて言っている。
本当に歳を感じる。
長男を妊娠したのが今から7年前、
次男を妊娠したのが今から4年前で、
それに比べて、今回の妊娠が本当にしんどい。
妊娠してからの辛さは生理と同じで人によるから
人と比べるのは難しい訳だけど、
同じ体で妊娠を3回すると、
どうしても比較してしまう。
そうすると、
「7年前は若かったんだなぁ…」
「こんなに辛さ違うんだぁ…」
と、どうしても歳を感じてしまう。
7年前なんて私、
妊娠3ヶ月で切迫流産の診断出たのに、
妊娠5ヶ月でライブして、結婚式挙げて、
妊娠6ヶ月で宿泊体験学習の引率行ってたよ。
ヤバいだろ。若さと無知って怖い。
とはいえ、2人の子を育て、
相変わらず旦那を取り締まり、
仕事もフルタイムで頑張り、
役職的なことも増えて、
家事だってやってるんだから、
一概に歳のせいだけとも言えないのかもしれないし
パワフルさは変わっていないのかもしれないけど。
仕事のことも子育てのことも
書き残したいこと山盛りなのに
なぜか文字に起こしたり、
文字を読んだりする所までに至らない日々を過ごしていた。
それでもきっと最後の妊娠、出産かと思うと、
疲れても辛くても
この瞬間を忘れたくないなぁと感慨深い気持ちになって
でもそんな余裕ねぇぇぇぇぇぇ!!!となる。
うん、まずは全然余裕なかったってことを書き残せた。よしよし。
何とか産休に辿り着いたので、
断片的にでも、
書き残したいことを書いておこうという気持ちになって、ようやくnoteをひらけた。
今、妊娠9ヶ月。
あと30日くらいでお腹の子は生まれてくる。
ここに至るまでに大変なことは山ほどあって
母子共に健康、というのが当たり前ではないことを
改めて感じることも多かった。
だけど、幸せなことも
それはそれはたくさんあった。
お腹の子の成長はもちろんだけど、
長男も小1になって、(卒園式と入学式についても書きたいなぁ)
次男ももうすぐ4歳だからこそ、
家族が赤ちゃんに向けてくれる愛情が沢山あって、
その姿を見れることが
本当に幸せでありがたいなと思う。
次男の時にはコロナ禍で閑散としていた病院に、
今回は息子2人と旦那と一緒に健診に行けることも、
とても嬉しい。
この妊娠や出産を、家族皆にも忘れないで欲しいと、私もついつい願ってしまっている。
先日、珍しく1人で健診に行って、採血をすると
「あら!今日は息子ちゃん達は?」
と、採血の方に声をかけられた。
話は逸れるけど、
私の腕の血管は私のようにシャイなようで、
皮膚の内側に隠れているため採血しにくく、
失敗して何度も針を刺されることも多い。
その日も3回失敗した看護師さんが
「すみません…
ちょっと別の人にやって貰いますね…!」
と言われて、代打で登場したのが
声をかけてくれた看護師さんだった。
マスク姿だったので声をかけられてから、
私達家族が行く土曜日午後の健診の時、
先生の隣にいつもいる看護師さんだということに気付いた。
「あ、今日は長男と旦那はキャンプに行ってて、
次男は保育園なんです。」
「あらぁ!キャンプ!いいですねぇ!」
目元だけでも分かるくらい、
看護師さんはニッコリしてくれた。
普段は先生としか話さないので
看護師さんの笑顔を見たら
いつも感じていたことが、ついつい口から溢れ出た。
「あのぉ、いつも息子2人も連れて、
診察室入ってしまってすみません。」
診察室に入る家族はいることにはいるんだけど、
待合室で待っている家族もいて、
家族みんなでズラズラと診察室に入ることは
病院側にしたら迷惑なのかもな、と思っていた。
とはいえ、息子達は旦那がしっかりと見てくれているので、騒いだりはしないんだけど、
何となくいつも後ろめたさみたいなのがあって、
その時についつい謝ってしまった。
すると看護師さんの目が
みるみる内にまん丸になって
「いえいえ!
私、2人の息子ちゃん大好きです!
とっても可愛いもの!
前の、「イイ音だしてるねぇ」って言葉も
可愛いすぎて色んな職員に教えちゃったんですよ!
ほんと可愛いですよねぇ、息子ちゃん達!」
迷惑だなんて全く思っていないです!
という雰囲気で、
看護師さんがまたニッコリ笑ってくれたので、
胸がジーンとしてしまった。
そして、私の可愛い息子達を
〝大好き〟〝可愛い〟という世の親が言われて絶対嬉しい言葉ベスト5にランクインする2つを挙げて大絶賛してくれたことにも
めちゃくちゃ幸せな気持ちになった。
看護師さんが言っていた〝イイ音〟というのは、
旦那と息子達と
初めて診察室に入った時の話だ。
お腹の中の赤ちゃんが
まだまだ小さくて、
数センチだった時のこと。
先生が「これが頭で、これが手で…」と説明してくれたけれど、超音波の画像だとよく分からなくて、
でも、家族で食い入るように先生の指さすところをみていた時のこと。
長男も「どれが?」と
旦那にヒソヒソ声で聞き返していたけど、
まだまだちゃんと姿がはっきり分からない。
そんな時。
先生が突然画面を切り替えた。
「ドク、ドク、ドク、ドク!」
大きな速い音がして、
「この音なーんだ?」
先生が息子達に向かって聞いてくれた。
「心臓!!!心臓の音!!!」
長男が叫ぶと、次男も真似して
「しんぞうのおと!」
と叫んだ。
赤ちゃんのドクドクドクの音に合わせて、
2人は小さくジャンプして、
「赤ちゃんイイ音出してるねぇ!」
「うん!イイ音だしてるねぇ!」
と嬉しそうに言った。
旦那が慌てて「静かにするよ!」と言ったので
2人はハッとなってすぐにやめたけど、
赤ちゃんの心臓の音を聞いて
思わずジャンプしてリズムをとっちゃう息子達が
可愛くて、愛しくなった。
旦那はそんな時も、
ちゃんとパパとして、
息子達がいつものようにエスカレートして
うるさくならないようにフォローしてくれるから
私は安心して健診を受けられているなぁと、
旦那にも心の中で感謝した。
まだお腹も膨らんでなくて、
まだ胎動もなくて、
まだどこが頭で手なのか分からなくて。
そんな赤ちゃんの存在を
2人の息子がしっかりと感じたのが
赤ちゃんの出す〝イイ音〟を聞いた時だったのだと思う。
それは、
力強くて、
速くて、
大きな音だった。
家に帰ってから、
旦那も私のお腹を撫でて
「さっきの赤ちゃんの心臓の音聞いて、
俺、泣きそうになっちゃった!」
と言ってくれた。
私もそうだった。
家族皆で、初めて赤ちゃんの存在を
しっかりと感じられてよかった。
赤ちゃんが生きている。
その喜びと、
生きていることを、皆で感じられた。
その喜びも合わさって、
喜びが倍になった。
子育てしていると、
子ども達がワチャワチャして
その瞬間になかなか気持ちに浸るのって難しいけど、
後から思い出して泣きそうになるほど嬉しいことや
子どもがいるからこそ増える喜びも
本当にたくさんある。
信じられないくらいある。
看護師さんの言葉のおかげで、
あの〝イイ音〟を聞けた瞬間が
更に特別で、大切な時間だったなと思い返せた。
書き残したいことはまだある。
息子達は、お腹によく話しかけてくれ、
まだ見ぬ赤ちゃんに優しくしてくれている。
お腹を優しく撫でたり毛布をかけたり、
私のへそを覗いて赤ちゃんを見ようとしたり、
逆にへその前におもちゃを持ってきて
「これ、カッコいいでしょ?」と聞いたりしている。
少し前にスポンジボブが胎児の時に、臍の緒からハンバーガーを食べてるというアニメを見た時は
「赤ちゃんもハンバーガー食べたいんじゃない?」と、私にハンバーガーを食え食えと言ってきた。
私を通して赤ちゃんにハンバーガーを食べさせたいらしい。
それ以降、食べたいものがある時には、
「赤ちゃんが◯◯食べたいみたいだなぁ」
と言うと、子ども達が旦那に私が欲するものを買ってくるように命じていたのも面白かった。
初めてお腹がグニョグニョ動くのを見た時
「おぉ!すごい!」と2人でびっくりして
飛び上がっていたのも可愛かった。
腰痛になって辛い時は、
旦那と子ども達がマッサージをしてくれて
涙が出るほど嬉しかった。
でも、3人の男子が腹のデカい横たわる私を
一生懸命マッサージする姿は
気持ち的にはクレオパトラだけど、
客観的に見たら飼育されてるトドなんだろう。
それもなんか笑えた。
旦那は3人の子どもに同じようにお腹にいる頃から愛を注いでくれていて、
この人ほんとに凄いな…
私の腹にめっちゃ話しかけてんな…
と、3回の妊娠全て感心してしまう。
きっとそんな旦那の姿を見て
子ども達も赤ちゃんに向けて
沢山愛情を注いでくれるんだと思う。
あと30日くらいで、
この妊娠生活が終わって、
今度は3人の子育てが始まる。
私は自分は歳だと嘆きながら、
身体がしんどいなぁ、辛いなぁ、と思いながらも、
家族や周りの人の優しさに助けられながら過ごした
幸せの詰まった最後の妊娠生活が終わる寂しさも感じている。
赤ちゃんが産まれたら、
身体はもっとボロボロになって、
全然眠れない日々が来ることも知っている。
だけど、きっともっと楽しくて
ドタバタワチャワチャな日々が始まることも
何となく予想している。
何より、
私たち家族が1番会いたかった赤ちゃんを、
旦那と息子達が抱っこする瞬間を想像すると、
産まれてきた赤ちゃんが一生懸命泣く声を想像すると、
涙が出そうになる。
そうだ。
私がきっと1番書き残したかったことは、
妊娠中は、家族や赤ちゃんに
本当に色んな気持ちを貰えた時間だったということだ。
忘れないように、
ちゃんと書き残しておこう。
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