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時間と場所は個人裁量で決めるABWという働き方

「個人がある活動を行うときに、最も生産性が高い場所、時間、相手を自己裁量で選択することができる働き方」=Activity Based Working(ABW)の話をうかがった。

ABWのメリット

ABWという概念を生み出したVeldhoen + Company(ヴェルデホーエン)社によると、

ABWとは企業のビジネス戦略や信念に適合するように働き方の改善方法を見つけ出す促進剤(カタリスト)」だという。つまり、企業のビジネスゴール達成に寄与する働き方を探るツールの1つであって、すべての企業に同じ形で導入されるような「働き方」そのものではない。

のだそうで、具体的に言うならば、

①時間と場所に縛られず縛られず、いつでも、どこでも仕事をする
②信頼することで責任を生み出す、そして権限を与える
③それぞれの業務に適切な音響特性などを持つ、オープンで柔軟な職場
④誠実で有意義な会話を支援する、柔軟な人間関係
⑤デジタル環境への移行を実践し、紙への依存と使用を削減する、無制限の(デジタル)アクセスと接続性

という特徴がある。そして、それによるメリットは、

①社員のウェルビーイング:より健康的で持続可能な職場
②社員の満足度:より参加意欲の高い社員
③組織の柔軟性:より協力的で効率性の高い意思決定
④ワークライフバランス:変革後の社員のワークライフバランスの改善
⑤賃貸コストの節約:投資対効果の高い職場

ということになるらしい。ちなみに、LEGO、IKEA、VOLVO、MSDなど数々のグローバルカンパニーがABWを導入し、組織の働き方を変革してきた実績がある。

職場での作業を10の活動に分類

ABWの考え方に基づくと、仕事は「10の活動」に分類できるようだ。

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今まで私が想像していたこれからのワークスペースと照らし合わせるとフリーアドレスである点は同じであるが(実は、これはオフィス面積の効率化によるコスト削減を主目的にしたオペレーション側の視点によるところが大きいという説も)、ABWはあくまでも「働いているスタッフのための環境づくりを徹底している」 点が大きく違うと言われている。

仕事を「10の活動」に分類し、ABWではこの10の活動に応じたオフィススペースを用意するのが特徴だ。この10の活動をたいてい会社では固定された自分のデスク、あるいは、殺風景な会議室、たまに最寄りの喫茶店……そんな場所でこなしていることが多い私から見れば衝撃的ですらある。

日本の低生産性問題

日本は、日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2017年版」によると、OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性 (2016年/35カ国比較)においては先進カ国中最下位。独立行政法人労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2017」によると、週 49 時間以上労働者の割合(全産業、就業者を対象)は先進カ国中7カ国中最多。労働生産性の低さが問題視されている。このまま行くと、長時間働いているわりに賃金が上がらず、プライベートの時間もとれないため幸福度もどんどん下がっていくことは目に見えている。

働き方改革は、従業員のマインドセットがされなければ、新しい施設を導入したとしても、ただ混沌としてしまうだけだとも思うが、形から入ることもとても重要なことのように思う。

なかなかイメージしづらいけれど、ヴェルデホーエン社とタッグを組むITOKIのショールームでは、実際にこの10分類の活動に最適なワークスペースが見られるらしい。今度、予約をして見学に行こう。



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