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「ライブハウスに行く」ということ

昨夜、ライブハウスに行った。厳密に言えば、着席スタイルのジャズクラブ。

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梅津和時✖️七尾旅人

サックス奏者の梅津和時さんが長年続けている「プチ大仕事」と銘打ったライブ。今年は5daysで、昨夜が最終日だった。梅津さんの存在は、忌野清志郎さんを信奉する夫に連れて行かれたライブで知った。幾度か、清志郎さんと同じステージに立つ梅津さんも観ている。

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梅津さんは、このライブ後、「歯」の治療のため休養に入る。まったく詳しくないのだが、サックス演奏は「歯」にとても負担がかかるらしい。治療後、「今まで通りの演奏ができるかどうかわからない」というブログを読み、胸がキューッとなる。

そう、少なくとも今の歯の状態での私が演奏出来るのは「プチ大2020」が最後になる。その後の音がどうなるのか私にも分からない。どうぞお聴き逃し無いよう。もちろん私もその覚悟で演奏いたします。

ホストである梅津さん、そして会場スタッフはできるかぎりの万全を期し、このライブに臨んだ。「ライブハウスから文化は生まれる。だから、ここから感染させるわけにはいかない。今から、換気します!」。そう梅津さんは挨拶し、ライブ中に換気をするためインターバルをとり、入場時同様、各所に配したスプレーでの除菌、殺菌を促した。

このグルーヴをつかまえて

梅津さんは今の状態で演奏できる最後の夜を七尾旅人さんと共にした。

実は、私は勝手に清志郎さんに最も近いアーティストが七尾さんだと考えているところがある。音楽性云々ではなく、発信するメッセージが極めて個人的で、ロマンティックで、時に社会に斬り込む愚直さが似ているなぁ、と。大胆なパフォーマンスと時より見せる恥ずかしそうな表情の落差も似ていると思う。言葉を選ばず言えば、永遠にどこか不器用そうなところが好きだ。

昨夜の2人は本当に楽しそうだった。放課後教室でプロレスごっこをしてはしゃぐ男子学生のようであった。「今日やろうとしている曲をまったく教えてないんですよ。すべて出たとこ勝負。なのに、もう初めから分かっていたかのように梅津さんはセッションしてくる」と嬉しそうな七尾さん。大御所の胸を借りるという図式ではあるのだろうが、30歳の歳の差がありながらも互いのリスペクトも惜しみなく、「音楽と生きる」というのはこういうことなのか、ということがよく分かるライブだった。

アンコール間際に、RCサクセションの『いい事ばかりはありゃしない』と『スローバラード』。ラストは、七尾さんの『Rollin' Rollin'』。歌詞にある「このグルーヴをつかまえて!」は、まさにライブの醍醐味を分かち合おうとする2人のアーティストから、この日訪れた観客へのメッセージのようであった。

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#春は必ず来る

まだまだ終息が感じられない中、宝塚歌劇団は、消毒の徹底やサーモグラフィーの設置などの対処をし、9日から公演を再開すると発表した。このニュースを知った宝塚ファンの知人は「自己管理を徹底し、絶対に宝塚の観劇で感染したと言われないようにしないといけない」と力説していた。

「私の好きなライブハウス」というハッシュタグが生まれた。そこに寄せられるコメントの中に、今までに訪れたことのあるライブハウスがたくさん登場し、胸にくるものがある。

もちろん、この記事の主旨は、性急なライブ開催を促すものではない。

この混乱の中、ある程度の自粛ムードは仕方がないことだということもわかっている。新型ウイルスに対する正しい知識や情報を身に着け、自己管理を怠らず、他人をいたわる心を忘れず、完璧な鑑賞マナーを実現する必要性を忘れてはならない。

ただし、「自粛」と「萎縮」をごちゃ混ぜにはしないように、とも私は思うのだ。自分の行動基準を他者に委ねず、自分の頭で考え、きちんと責任をもった行動をとる大切さも併せて胸に留めたい、と。

一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人日本音楽制作者連盟、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の3団体は、「エンターテインメントを愛する皆様へ」という共同声明を発表した。「#春は必ずくる」というハッシュタグをつけて。

明るい山下達郎

日曜日の昼下がり、山下達郎さんの言葉がラジオから流れた。

「 世の中騒然としていますが、リスナーの皆さんのお便りは、冷静で穏やかで物言わぬ多くの良心は存在してると感じています。不謹慎だこんな時に等の自粛ごっこを嘲笑うごとく、今日は予定変更し"明るい山下達郎"の楽曲特集をお送りします」

この日の選曲は、『パレード』から始まり、ラストには『希望という名の光』。たしか、3.11の自粛ムード時にも、熊本震災の時も、山下さんはこの曲をラジオから流したと記憶している。

通常ならイベントの多い3月。数々のイベントキャンセルにより、このままだと生花が大量に余り、廃棄されてしまうと聞いた。不用意に不安がり、さし迫って必要のないものを買いだめをするより、たとえば、生花を買って家に帰ろう。

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