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読書日記

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2020年1月の記事一覧

「キレイ事」の向こう側

SDGs(持続可能な開発目標)とか、CSR(企業の社会的責任)とか……いきすぎた資本主義がバランスを取り戻すために民間セクターがやるべきことはたくさんある。だけれど、資本主義経済における市場原理は、最終的には「お金をいかに儲けるか」にいきつくわけなので、企業はCSRを語る表の顔と別の顔を持っていたりするのが常である。 一部の企業が生み出した社会的問題を別の企業が解決できるというのは絵空事だ。 「企業と政府だけでは、社会の問題は解決できない」と、NGOや社会運動、社会事業な

「職場はATMだ」に反論はできるのか!?

大学院の講義の中、サードプレイスのディスカッションの時間に、20代プログラマーのA君は言った。ザックリというならテーマは「あなたにとってセカンドプレイス=職場とは?」であった。 「職場はATMだ」 「仕事で自己実現とか、やりがいなどを考えていないです。サードプレイスの友達の中にいる時、楽しく過ごせることがイチバンなので、職場はお金(給料)を引き出せればいい、というか」と言葉が続いた。 よくよく聞けば彼は職場でかなり有望視されていることが分かるのだが、本人は「それに恩義は

タテとヨコ。速いと遅い。評価はいつだって恣意的⁉︎

162回芥川賞、直木賞が発表された。ノミネート4度目の湊かなえさんは、今回も受賞を逃した。 湊さんは4回目の候補。何回も候補になると、どうしてもタテの評価が生まれる。前の作品の方がいいのに、これで(直木賞を)あげるのかとか、前作と比較してしまう。(ノミネートの)数を重ねるのは不利です ヨコのライバルたちだけではなく、タテ、つまり自分の過去とも闘わなくてはいけない。 これは、アカデミー賞においての、マーティン・スコセッシ(8度目のノミネートで初受賞)やグレン・クローズ(7

2割か8割か。それが問題だ

『2030年アパレルの未来』には《業界を揺るがす10の本質的変化》が紹介されている。その中の2つは、 ①2割の「能動的な消費者」はインフルエンサー化、プロシューマー化する ②8割の「受動的な消費者」にはレコメンデーション機能の影響力が増す と指摘されている。これからどんどんインフルエンサーは力を増していくだろうし、そうでない人はほぼ自分の「正解」はAIが決めていくのだろうし、インフルエンサーに委ねていくのだと思う。これは日頃ぼんやり見つめているSNSがどんどんその2つの機

VOGUEとサステナビリティ

いよいよだ。VERYが「サスティナママ」という造語をおしている。 そこに拡大解釈があろうとなかろうと、「環境問題を考えること=イケてる」というムードをVERYは発信している。 環境意識が低すぎると指摘されまくってきた日本だが、遂にサステナビリティという概念が「キャズム超えする5秒前」の空気を感じている。 昨年、VOGUEも本格的宣言をした。昨年12月に「未来の世代のために地球を守り残すために活動していく」グローバルミッションステートメント「VOGUE VALUES」を発

働かなくてもよい未来

年末年始でたっぷり休めたので、仕事初めはなかなかにハードに感じる。 「100年後には1日に3時間くらい働けば生活に必要なものは得られるようになる」と経済学者ケインズが言ったのは確か1930年。2030年に、3時間働けば良い未来が実現することはないだろう。 専門家によれば、 ケインズだけでなくマルクスやシュンペーターらも、経済成長の終わりという問題を論じているが、働く必要がなくなり日々やることがなくて困ってしまうということは当分なさそうだ。需要が飽和してしまうという心配を

錦糸卵という呪縛

「違う仕事がしたい」。地方公務員の友達は言った。 正月休みをとっているはずなのに、なんだかとても疲れていた。「中年の危機ってやつなのかな。私たち、なんだかいろいろな事に飽きてくる頃だよね。仕事、飽きちゃったの?」と聞いてみると、「う〜ん、なんだか、毎日余裕がない。ずっとこの生活が続くかと思うと、考えただけで疲れてしまう」と彼女は言った。 そこから彼女が話すままに日常のタイムスケジュールを聞いてみた。そして判明。彼女を苦しめていたのは、食べ盛り(運動部所属の中学生と高校生)

親と老いとロスジェネと。

同級生で集まった。結果的に話したテーマを集約すると「これから先の働き方」と「親の介護」について。 その中のひとりの話。親が自分の老いを認めてくれず、家の住み替えやリフォームにも否定的でケンカも絶えない。何より「家で最期を迎えたく、それまでの面倒を私に見てもらおうとしていることが分かって衝撃だった」という。ちなみにシングルマザーで親とは別居。 一方、違う友人。親は施設に入ることには肯定的で、「あなたに面倒をかけたくない」が口癖だという。ちなみにシングルで現在は同居中。 価

#WorldWarⅢ  予測不能な2020年代が始まった。

寝正月を決め込もうとしたが、昨晩、かなり大きなニュースが飛び込んできたので、ネットサーフィンが止まらなくなる。備忘録として、この三が日に気になったトピックをTwitterのコメント中心にツラツラと。 #ベーシックインカム 新生児を放置して死亡させた事件は、 日本の貧困化を明らかに示していたように思う。 一方、フィンランドではハウジングファースト政策でホームレスゼロに。路上生活者対策よりも割安のよう。 ホームレス対策の抜本的改革の好例となるか。 日本は、“隠れ“ホーム

俺とお前と、完璧なわがまま。

箱根駅伝を横目に、この記事を書いている。完全なる寝正月モード。 昨日、実家へ運転する車中、懐メロをかけまくった(睡気がとぶから笑)。たまたまたその中でかけたチェッカーズ(前期)の「俺・お前」ソングに聞き入る。いつの頃からか、J-POPと呼ばれるジャンルの歌は「僕・君」ソングになったよな、なんていうことを考えながら。 紅白で聴いたNHKの2020年東京オリンピックのテーマソングになる嵐の『カイト』を思い出す。そこには父と母が登場し、その中で、「父は言った『逃げていい』と」と