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何もすることがないから、できることが多くなる

私が住む町は何もない。

ハノイの端っこ。家は連なり建っているんだけど、なんせ何もない。近くの食堂は7時半(!!)に閉店する。飲み物やスナック、シャンプーなどの生活雑貨を置いている店も6時半に閉まる。歩いて15分ほどのところにコンビニらしき店があるが、朝6時から10時までだ。

そしてバスや地下鉄がない。地元の人はみなバイクで移動するが、私は運転できない。なのでバイクタクシーを使う以外は、自分の足だけが移動手段なのだ。

半径5キロの世界。


何もない。だから、することがない。


最初は、不便ですぐにこの生活がいやになるかも? なんて思っていた。だけどハノイに引っ越ししてからもうすぐ2ヶ月。私は自分で驚くほど充実した日々を過ごしている。


何もないから。
夜は10時には寝る。

だって居酒屋もないし、テレビもないし。何もないんだもん。



夜10時に寝るから、
朝は5時半に起きる。アラームをかけて無理やり起きているわけではない。10時に寝ると自然にこの時間に起きてしまう。



朝5時に起きたから、
まだ世界が起きる少し前。何もすることがないので、熱いシャワー浴びたあとにノートを開く。Podcastを流し、英語の勉強を40分ほど本気でする。朝一番のクリアな頭に、外国語を詰め込んでいくのはとても気持ちいい。



英語の勉強が終わっても6時過ぎだ。
そこから朝ごはん(バナナ2本と、ハチミツをスプーン1杯)を食べ、いつも後回しになってしまうメール返信をする。そして手帳を開き、今日の仕事のスケジュールを眺める。



ここまでいろんなことをしても、まだ7時。
私は午前中、日本語学校の先生をしているので7時50分に家を出る。でもまだ1時間近く時間がある。どうしようね? と思いながら、部屋にマットを引く。両手を合わせ、深呼吸をしてヨガを始める。ヨガが終わったらスクワットをする。今、30Daysチャレンジをしていて、今日は9日目。65回、ヒーヒー言いながら腰を下ろして上げてを繰り返す。



日焼け止めを塗り、虫よけスプレーを振りかけ、やっと家を出かける時間だ。家のおもてに出て、送迎をしてくれるベトナム人の男の子をストレッチしながら待つ。



これが私のモーニングルーティンだ。東京にいたころの私が聞いたら、なんて意識の高い人だっっっ! と褒め称えながら少し距離を置いただろう。なんかすごすぎて、私の世界にいるべき人ではない…とかなんか言って。

確かに、大都会の誘惑が多い環境の中で、私のような朝を過ごせる人はすごい。でも私は凡人で。仕事の効率を良くするためにとか、健康に美しくなるためにとか。そんな目標はいっさいなくて。

ただ何もすることがないから、やってみたかったことを並べるように実行しているだけ。



今、私は自分の生活を気に入っている。

Less is Moreとは本当によく言ったものだ。


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