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生きること、生きてきたこと。あいみょんさんの「生きていたんだよな」を聴いて

最近思うところがあって、あいみょんさんの「生きていたんだよな」を聴きました。
2016年に発売された彼女のメジャー1stシングルだそうです。

歌詞で歌われるのはセーラー服で飛び降りた学生と、まわりの野次馬、そして死を選んだ彼女を肯定も否定もしないで受け止めて弔うような言葉です。

死が歌われた曲でありながら

生きて生きて生きて生きて生きて
生きて生きて 生きていたんだよな  【引用:「生きていたんだよな」作詞作曲:あいみょん】
新しい何かが始まる時
消えたくなっちゃうのかな 【引用:「生きていたんだよな」作詞作曲:あいみょん】

死という言葉が出てこない曲。空を飛ぶ、消えるという表現で死を捉えています。

あいみょんさんは、以前インタビュー記事の中で自分は生きてやると思うタイプだとおっしゃっていたのを読みました。
だからこそ、歌詞の中で今まで生きていたことを尊重するし、生きることの大変さも日々考えていらっしゃるのかな、なんて想像したりしています。

最近、人間と他の生物などの違いを調べる機会があって、人間は言葉を使ってコミュニケーションをし、他の人を思いやれるというお話を読みました。
ただ、自分と感覚が似ていると思う人だとしても、意見が異なることはよく起こることを自覚していないといけないと。
自分の考え方が友達と違うこともよくあることなのだな、当たり前のことなのだと思いますがふと思いました。

今回の歌詞では、

新しい何かが始まる時
消えたくなっちゃうのかな 【引用:「生きていたんだよな」作詞作曲:あいみょん】
鳥になって 雲をつかんで
風になって遥遠くへ
希望を抱いて飛んだ 【引用:「生きていたんだよな」作詞作曲:あいみょん】

ここの箇所が、あいみょんさんの考えや表現がやっぱりすごいなあと思って。
自分は新しい何かが始まる時、ほとんどワクワクばかりなのです。
内容によるし、私も嫌だな、でも行かなきゃな、と思うことも多々ありますが。
それでも緊張はするけれど、始まることで得られることを思うとワクワクが大体は勝ってしまう。
だけど、もちろんそんな考え方じゃなくて新しい何かが始まる時消えてしまうほど辛いことだってありますよね。
そういうことを、さらりとこうして歌詞に盛り込めるあいみょんさんは本当に素敵だなあと思いました。

鳥というと空を羽ばたく自由なイメージがあるのですが、それをこのように歌詞に盛り込むことで、亡くなった彼女のこの世での辛さが感じられます。

華美な表現をほとんど使わずに普段使うような言葉でこの様々な感情が伝わってくる歌詞を綴られているのも本当にすごいなあ。

いろんな辛い思いを抱えている方に綺麗事だと自分が思うことはなかなか言いたくなくて。
この歌はすっと心に入ってきて、自分の生きることということに目を向けさせてくれたり、他の方を思いやるとはということに改めて気付かせてくれました。
素敵な歌です。

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