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若年世代のうどん離れについて思うこと

皆さん、こんにちわ。
私はうどん屋として働き始めて今年で17年目になります。
年齢はもう直ぐ46歳になります。

改めて考えてみると、うどん屋として働き始めてもうそんなに月日が経っていたのか!という事に真剣に驚きます。
昔から「10年一昔」と言いますが17年です。
テクノロジーの進化によりあらゆる産業において17年前では考えられなかったような技術革新が起こり、社会の構造も大きく変化しました。

そのような中で「さぬきうどん」を取り巻く環境もさまざまに変容していき、日々の営業を続けていく上に置いて、各店の大将はその対応策を考えていく必要に迫られます。

そうした変化の中の一つでたまに耳にするのが「若者のうどん離れ」です。

若者のうどん離れは本当か?

「最近の若い子はうどん食べんよなあ」
うどん屋さん同士での会話の中で、たまに出てくるフレーズです。
そして、実際に自分が営業している体感としてもこれはある程度真実であると感じています。

「でも、実際のところはどうなんだろう?」

ふと、そんな疑問が湧いてきました。
業界の将来を考えていく上に置いて「未来のお客様を育てていく」ことの重要性はうどん屋に限ったことではありません。若年層に対するアプローチは必要不可欠な要素です。

そのアプローチを仕掛けていくためには現状認識を正しくしておくことから始めないと、的を射た対策を打つことが難しくなります。そんな観点から今回は話を進めてみたいと思います。

全人口における若者の割合の変化

まず最初に「若者」「若年層」を定義しておきます。今回の記事内では「0歳〜29歳以下」の人たちを「若者」「若年層」として扱わさせてもらいます。

その上でこの10年で「若者」の割合がどのように変化したのかを見てみましょう。


これは総務省の統計局のデータを元に若年層の割合を調べたものですが、単純な事実として10年の間に総人口が減少しているその中においても、若年層の割合が2%減少しています。
「割合が2%減少」この数字だけ聞くと、今一つピンとこない気がしますが、「現少人数」で見てみると、総人口が10年で約260万人減少しているのに対して、若年層は約322万人減少している結果になります。
これは単純に数字だけの話で考えるならば、総人口の減少人数を上回るハイペースの減少が「若年層」だけで発生しているということです。
もっと言うならば、若年層の人数だけを比較した場合、10年間で若年層の人数は約9%も減少していると言う訳です。

この数字を念頭において考えると、店舗の営業において「若者の来店が減った」と感じるのはただの感覚ではなく、「事実に基づいた妥当性がある」と言えると思います。

参考までに香川県の若年層について

ついでに参考資料として香川県の人口割合を見てみましょう。


こちらも同じく総務省の統計局の数字を元に作成しております。残念ながら、県別のの人口割合は区分の分け方が表の通りとなってますので最初に定義した「29歳以下を若年層」とする資料としては比較しづらくなってます。

ただし、「65歳以下」をアクティブな年齢層と捉えた場合、香川県においては
2012年は72.9%の割合なのに対し、2022年は67.7%と5.2%の減少となってます。

対して全国での統計数値を見てみると
2012年の「65歳以下」の人口割合は75.8%に対して2022年は70.1%と5.7%の減少となってます。

香川県は全国平均に比べると65歳以下の年齢割合が少ないということも見えてきます。これだけでは「若年層」についてまでは言及できませんが、全国平均に比べると社会は高齢化していると言うことは見えてきます。

では次に考えるべきことは?

実際の統計上の数字を洗い直すことで「現実に若年層の人口が減少している」と言う事実が確認できました。では、次に考えてみるべきことはなんでしょうか?

「若者のうどん屋離れが進んでいる」のは本当か?

この部分を考えてみたいと思います。
これをご覧になっている方の多くはうどんの関係者だと思います。その業界の内部の中で「若者のうどん屋離れ」について危惧している、と言う話をよく耳にします。

しかし、それは本当なのでしょうか?
先ほど見てきた通りに「現実に若者の人数が減少」しています。ですので、店舗営業の際に「若者の来店数が減った」と感じるのは正しい感覚です。
ですが、それはうどん屋だけに起こっている現象ではないはずです。なぜなら、「若者の数」それ自体が減っているからです。

「うどん納屋に来る若者の数が減った」

これを検証するためには別の飲食業界の若者の比率の推移と比べなければ真偽のほどはわからないはずです。

その為にはまずファーストフード店やファミリーレストラン、コンビニなどの利用者の若者の比率がどんなふうに推移しているのかを調べてデータ化する必要があります。
その上で、うどん店の若者の利用率と他の業界の利用率の推移を比較して初めて「若者のうどん屋に対する動向」が見えてくると思います。

仮に「若者がうどん屋を利用する機会が減っている」と言うデータが手に入ったとしても、「実は他業種においてはうどん屋以上に若者の利用率が減っている」と言うデータが得られた場合は、実は若者に対してうどん屋はまだ、優位性を保っている、と言えます。
そしてその反対に「他業種よりもうどん屋の方が若者の利用が減っている」事実が判明した場合には、若者の利用率の減少幅が少ない業種の特徴を参考にして、その強みをうまく取り入れていくことで、対策を講じることができるように思います。

まとめとして

今回お話しした中には現実の問題として、

「どうやって客観的なデータを手に入れるのか?」

実行にはいろいろな課題が含まれているとは思います。
しかし、ここで覚えておいてほしいことは

・何が問題なのかを正しく把握する
・現状をしっかりと認識するために客観的な根拠を集める
・集めた根拠をきちんと分析する

この3つです。
おそらくどんなプロジェクトの遂行においても、こうした考え方は必要とされる能力だと思います。
もちろん、初めから全てが正解に辿り着くようなことはありませんので、何度もやってみることが重要です。
仮説を立てて、実行、検証して、修正、そして再び仮説・・・。
これを繰り返すことでそのスピードや精度を高めていくしかありません。

半分遊びのつもりで、さまざまな場面に疑問を投げて、自分なりの仮説を立てて、思考実験をするのも意外と面白いと思います。隙間時間にスマホの代わりに思考実験で暇つぶしをしてみると気がつくと成長してた!なんて事になるかもしれませんよ(笑)

最後までお読みいただきありがとうございました。
また来週もよろしくお願いいたします。

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