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誰でも出世したいというのは間違い

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 週末に事務所の引っ越しを控えてハチャメチャな感じになっている今日このごろ。昨夜は現実逃避かつリラックスのために、久々に贔屓のタカラジェンヌの新人公演主演作を見ました。

 タカラジェンヌは、入団時にだいたい将来の道が決められているようで、「路線」に乗せられた人はそのまま順当にトップになるらしいです。とはいえ、本人もトップになる覚悟をもって取り組んでいるんでしょうが、路線は路線なりに様々な葛藤や挫折を味わうんでしょうね。

 では、路線に乗っていないその他大勢のタカラジェンヌはどうするのかというと、路線でないにもかかわらずめきめきと実力を発揮して良いところまで出世したり、名脇役として名を馳せたり、楽しい青春の思い出と共に早々に退団して良いところにお嫁に行ったり(最後のは私の想像)。

 弁護士の中にも、どこまでも走り続ける人と、ワークライフバランスを大切にする人がいるように、同じような世界にいても人生に対する考え方は人それぞれのようです。

 会社で働く人たちも、全員が全員出世を望んでいるわけではありません。

 特に最近の若い世代は、昔のモーレツ社員と違って、出世して仕事に時間を取られストレスを感じるよりも、そこそこの給料をもらって自由な時間を満喫したいそうです。

 他方、使用者の側からすれば、従業員には向上心をもってバリバリ働いて欲しいでしょうし、能力のある従業員には昇格してもらって責任ある仕事を受け持ってもらいたいと考えるでしょう。

処分の有効性

 では、使用者側の思惑どおりに出世したがらない労働者を処分することはできるのでしょうか。

 管理職への昇格は、業務命令として行われますので、この命令に従わない従業員には業務命令違反があることになります。

 しかし、業務命令違反が直ちに処分の対象になるかといえば、そういうことはなく、業務命令権の行使が権利濫用となる場合にはその命令に従わない従業員に対する処分は無効となります。

 従業員側に昇格を拒む正当な理由があるか、処分の重さはどうか、昇格命令手続きの内容などの様々な要素によって、権利濫用かどうか判断されることになるでしょう。

不当労働行為になる?

 管理職に昇格すると、労働組合の組合員の資格を失います。

 また、栄転に伴って組合活動が事実上制限されることになることもあります。

 したがって、労働組合を潰したり組合活動を妨げようという不当労働行為意思に基づいて昇格させた場合には、不当労働行為に該当する可能性がありますので、注意しましょう。

必ずしも出世だけが人生ではない

 全ての働く人が出世したいと思っているわけではないことを念頭に、従業員が適材適所で能力をいかんなく発揮できるようにするためには、昇格昇進時には本人と良く話し合って決めることが大切ですね。

 使用者側の期待が従業員にきちんと届きますように。



 

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