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傷病休職からの復職

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 腕の状態は少しずつ良くなっているものの、昨日は、再びきつい痛みとしびれと痙攣に襲われました。

 それでも、1か月前に比べると1割程度の症状なので、まだマシなんですかね~

 早く完全に治って仕事したいもんです。


 さて、病気やけがで休職している従業員が、そろそろ復帰したいんですが、と言ってきた時、会社はどうすればいいでしょうか。私のように、まだ完全に治っていないけど、仕事を休み続ける訳にはいかないし、といって無理して復職しようとしているかもしれません。

 無理に復職すると、特に精神疾患の場合は症状が悪化してしまう危険性もありますので、復職の判断は慎重にする必要があります。

必要なのは医師の診断書

 就業規則には、復職の要件が定められているはずですので、まずはその規定を確認しましょう(もし、規定されていないとするなら、就業規則の改定を検討しましょう)。

 まず、最低限必要なものとして、医師が「就労可能」と判断した診断書を提出してもらわなければなりません。いくら本人がやる気満々でも、専門家の目から見ればまだ危ない、ということも十分あり得ます。

 逆に、医師から「就労可能」という診断書が出されたとしても、必ず復職させなければならない、ということもありません。業務の具体的な内容からして、到底復職させることができないようなこともありますので、その復職拒否が権限濫用にならないような合理的な理由に基づくものであれば、復職を拒否することも可能です。

復職を拒否するための合理的な理由

 医師の「就労可能」という診断書があるにもかかわらず復職を拒否することに合理性があるかどうかは、以下のような要素で判断されます。

・ 業務の具体的な内容からして復職が適当かどうか

・ 従業員の求めに応じて診断医を指定したかどうか

・ 主治医に対して、従業員の健康状態や診断書の内容について問い合わせたか

・ 従業員本人に対して、復職を拒否する理由を説明したか

 ただし、主治医に対する従業員の健康状態や診断書の内容についての問い合わせは、本人の同意があることを求められる場合がほとんどです。

 主治医は、患者の求めに応じて患者の都合のよいように診断書を出すことが往々にしてありますので、会社としては、その診断書に基づいて復職を認めることに不安がある場合は、当該従業員本人を同行して、診断書を書いた医師と直接面談して話を聞くことが大切です。

医師の指定

 従業員が持参した診断書の信憑性が疑われる場合や、診断書を作成した医師が面談をしてくれないような場合には、会社の選ぶ医師の判断を仰ぎたいところです。

 そもそも、就業規則に、復職に当たっては会社の指定する医師の診断書が必要、と規定している場合には、最初から会社の指定する医師の診断書を求めることができます。

 しかし、このような規定がない場合には、上記のような、会社指定の医師の診断が必要な理由があることが求められるでしょう。そのような必要性もないのに嫌がる従業員に会社指定の医師の診断を求めることは難しいと思われます。

復職の手順

 復職に当たっては、徐々に業務に慣らしていってもらうことが必要ですが、そのことについては別稿で書いていますので、ご覧いただければ幸いです。




 

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