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三六協定で延長できる時間

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 年を重ねるごとに、時間の経つのが異様に早く感じるようになります。
 まだまだ朝だからたっぷり時間があると思っていたのに、気付いたら夕方だった・・・
 さて一週間が始まるぞ!と思っていたのに、気付いたら金曜日だった・・・

 スピードが速すぎてやるべきことが追いつかないし、手を付ける前に記憶が薄れてさらに時間がかかる羽目に・・・

 この時間の流れの速さに打ち勝つ方法はないものでしょうか。
 時間は皆に等しく進んでいるはずなんですけどね・・・

 こうして残業を余儀なくされていくのかもしれません。

三六協定の締結と届出

 従業員に時間外労働をしてもらうには、事前に三六協定を締結して労基署に届け出ておく必要があります(労働基準法36条1項)。

 この協定が「三六協定(さぶろくきょうてい)」と呼ばれるものです。

 平成31年4月1日から(中小企業は令和2年4月1日から)施行されている改正法により、この三六協定でも、原則1か月45時間、年間360時間までしか時間外労働を設定することができず、特別条項が適用される臨時的な場合でも、最長で休日労働を含めて1か月100時間、年間720時間までしか時間外労働が認められないことになりました。

 そして、これらの時間を超えて残業をさせた場合は、罰則が科せられることになりました。

延長時間について協定すべき事項

 三六協定では、「対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数」を決めなければなりません。

 1日、1か月、1年の3つの期間についてそれぞれ協定することが定められているのです。

 では、1か月未満や1年未満で契約している労働者については、どうすればいいのでしょうか。

 解釈例規では、1日、1か月、1年以外の期間についても延長期間を定めることが可能であるとされています(平30・12・28基発1228第15号)。

 そして、「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」(平30・9・7厚生労働省告示第323号)第6条によれば、1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間という目安が示されています。

 なお、期間が次のいずれかに該当する場合は、目安時間は、次の計算で算出されます(その時間に1時間未満の端数があるときは、1時間に切り上げる)。

① 1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間 
  15時間×(日数÷7)

② 1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間 
  27時間×(日数÷14)

③ 2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間 
  43時間×(日数÷28)(その時間が27時間を下回るときは27時間)

 これらの時間は、“目安”として示されているものの、これらの時間を超えて労働させた場合は労働基準法32条違反になる、とされていますので、守る必要のある“目安”ということになります。
 十分注意して時間外労働の時間を設定するようにしましょう。

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