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「新しい生活様式」に対応した体験活動の事例紹介③「知る、伝える。ボランティア」

コロナ禍の中で体験活動や地域活動に取り組んでいる事例をご紹介する、よこはまユースのnoteです。今回は「知る、伝える。ボランティア」をご紹介します。

「知る、伝える。ボランティア」は若者が地域団体を取材し、発信するプロジェクトです。オンラインを活用して打ち合わせや取材を行い、noteで発信しています。

詳しい活動内容や取材記事はこちらからお読みいただけます。若者たちの参加動機はさまざまで、活動への関わり方もそれぞれの主体性に任されています。この活動をコーディネートしている、横浜市青少育成センター職員の南さんにお話を伺いました。

―なぜこのような企画をしようと思ったのでしょうか。
コロナ禍で地域のイベントや活動が制限されていく中、同様に若者のボランティア活動も大きく減っていました。また、社会のオンライン化が進み、若者、特に学生は授業のほとんどがオンラインとなるなど、家から出ない生活ができるようになりました。新たな人との出会いは減り、人間関係が固定化していくことに危機感を感じていました。地域と関わっていきたいと考えている若者も、不要不急という言葉で片付けられ、興味を深めることも人間関係を広げることもできなくなっている現状を何とかしたいなと思ったのが発端です。

コロナ禍の中で地域と関わる方法を考えたときに「オンライン」は必須でした。「オンライン」でできることは人と話をすることです。そこで、2020年11月頃から「地域で活動する団体や人の話を聞いて、記事にして活動の発信をする」このボランティアを始めました。

―実際にやってみて感じた課題や成果を教えてください。
参加するボランティアが求めるものは地域を知ることと同時に、対面でのつながりでした。当初はオンラインを中心に取材やボランティアの交流会を行っていましたが、オンラインでの人との出会いは現実味がないのか、他にも様々な理由があるのかもしれませんが、関係が希薄なように感じました。参加するボランティアもそれを感じ取っていたようです。そのため、2021年の4月頃からハイブリッドでの取材や交流会、横浜の街歩きなど、感染症対策をしたうえで活動の幅を広げました。対面でのかかわりを加えることで、オンラインの活用も活発になったと感じています。

また、オンラインで活動できるというのは「ボランティアに興味はあるけど、どこまでできるかわからない」と思っている“ボランティアライト層”を取り込めていると思っています。まずはオンラインで始めてみる、というのは参加するハードルが低いようです。このボランティアを通して地域を知り、一つの固定した団体でボランティアをするのではなく、様々な団体を知る中で、自分の興味がどこにあるのか明確になっていくのだと感じています。そのような体験を通して、長く地域と関わってもらう仕組みをつくれればと思っています。

ただ、この活動をする中で課題となっているのは、取材内容を記事にすることにモチベーションが生まれにくい点です。記事に起こす作業は個々人のタイミングでやってもらっています。取材は比較的受け身で参加することができますが、記事にする作業はボランティアの自主性に一任しているのです。「地域団体・個人を取材し、記事にすることで活動の広報の一助となる」ことがボランティアの目的ですが、記事が広報の一助になっていると実感することは難しいです。広報媒体として発信力を高めるためには継続的に投稿していくしかないですし、個々人の文章力を高めるためにも記事の作成を重ねるしかないのですが、億劫になってしまう気持ちもわかります。この中で取材→記事という過程をスムーズにしていくためにボランティアと課題を共有しながら一緒に試行錯誤を重ねています。

―これからの展開をどのように考えていますか。
記事の作成も含め、発信力を高めていきたいというのはボランティアとも話していることです。地域団体にとっても取材されたことで認知度が高まるなど、メリットのある活動にできればと考えています。

また、青少年育成センターは『すべての青少年が周囲の人々から見守られ、人とのつながりの中で成長できる地域づくり』を目指しています。この若者ボランティアが地域団体と関わることで地域が青少年とつながるきっかけになったり、ボランティア自身が地域から学び、地域を支える・青少年を支える役割に変わっていったりすることを期待しています。「地域と関わるのってなんかいいな」と感じられる体験を生みだしていきたいと思っています。


3回に渡って掲載してきた「新しい生活様式に対応した体験活動の事例」の紹介はひとまずこれにて終了です。コロナ禍は私たちの社会生活に様々な制約を課しましたが、新しい体験活動、地域活動の形を生み出すきっかけにもなりました。これまでに紹介した事例を読んで、自分もボランティアや地域活動に関わってみようと思ってもらえたら嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。