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誤植か?目を疑う作詞のクレジット

誰が作詞して誰が作曲しているのか?割と気になるタイプでレコードやCDに記載されているクレジットを見るのが好きなわけだが、今になって「そういえば、この曲誰が作詞しているんだっけ?」とクレジットを見返すことがある。先日そんな軽い感じでクレジットを見てたらとんでもないものを見つけたので書いてみたい。

クレジットを見なくても、だいたい誰が書いたものかは分かる場合が多い。嵐さんらしい男くさい内容、翔くんらしい言葉の使い方、Johnnyらしいロマンティックなストーリー、TAKUならではの陽気なテーマ。だいたい個々の「らしさ」のようなものを持っている人たちなので、曲を聴きながら誰が作ったか想像がつくことが多い。

そんな「らしさ」が当てはまらない意外な歌詞を書かれると驚くこともあるが、それでも想定範囲内というか、まぁこういうパターンもあるのかと納得はできる。

しかし、先日見つけたとんでもないクレジットは我が目を疑った。これは誤植なのではないかと思うほどである。それは岩井小百合のデビュー曲「ドリーム・ドリーム・ドリーム」のカップリング「I Love My ダーリン」である。まずはその問題の歌詞を見てみよう。

  ステキなあなたは surfin' boy
  波と 友達なのね
  こんがり焼けた funny face
  春 夏 秋 冬 おなじ

  いつでもお供は surfin' board
  真っ赤なCityの屋根に
  ちょこんと乗せて every day
  海までドライブしてる

  今日も私は 置いてきぼりね
  いつも留守番 1人ぼっち
  あなたと 仲良しな
  波にちょっと やけちゃうわ

  たまには誘ってほしい
  あなたの友達 会いに
  潮の香り つつまれて
  Driving to the sea

  あなたと2人で holiday
  ビーチボーイズ 聞いて
  茅ヶ崎 葉山 surfin' road
  隣に 私を 乗せて

  海に着いたら カモメと遊び
  砂に 2人の名前を書いて
  あいあい傘で囲んで
  よせる波に 投げkiss

  打ち明け話を 聞いて
  優しい あなたが 好きよ
  こんな気持 初めてよ
  I Love My ダーリン

海とサーフィンに夢中な彼氏にかまってもらえない女の子の気持ちを歌い、ついに念願叶い彼氏に海へ連れてってもらった女の子の可愛らしい想いが綴られている。デビュー当時の初々しい岩井小百合にぴったりな歌詞である。ぴったりすぎて誰が書いた歌詞なのか気になっていなかったというのが正直なところだが、CDのクレジットを見て驚いた。なんと【作詞:嵐ヨシユキ】とクレジットされていたのだ。これは知らなかった。一瞬見間違いかと思うくらいに驚いた。こんな歌詞を考えている嵐さんがなんとも可愛すぎる。ちなみに作曲はアキ&イサオだ。

確かにデビュー当時の岩井小百合の作品は横浜銀蝿のメンバーがちょくちょく手がけている。デビュー曲「ドリーム・ドリーム・ドリーム」は作詞も作曲もTAKUだ。TAKUは4枚目のシングル「恋♡あなた♡しだい!」も手がけている。2枚目のシングル「ドキドキ♡のバースデイ・パーティー」は翔くん作詞、Johnny作曲だ。以前のコラムで書いたようにデビューから半年くらいが経った頃からプロフェッショナルな作詞家・作曲家を多数起用してきたわけだが、初期は横浜銀蝿が完全バックアップしていたのだった。


例えば、弟分の嶋大輔や紅麗威甦はルックスが横浜銀蝿直系のツッパリスタイルだから、横浜銀蝿もバックアップするのがやりやすかったであろう。しかし、岩井小百合には横浜銀蝿のツッパリスタイルのイメージは皆無だ。しかし、銀蝿一家のマスコットガールとしてデビューさせる以上は横浜銀蝿も何かしらのタッチをしないわけにはいかない。個人的には、岩井小百合にはツッパリや不良の要素を持たせなかったのは大正解だと思っている。元々不良の素養がない岩井小百合に無理矢理不良の要素を取り入れるのはかなり無理がある。

「ドキドキ♡のバースデイ・パーティー」の歌詞の内容も翔くんにしてはかなり可愛らしい内容でなかなかの意外性はある。しかし、この曲は最初からストーリーがあったと思う。岩井小百合が誕生日パーティーの主役で、そんな可愛い岩井小百合に男が群がっているというストーリー。横浜銀蝿が岩井小百合の親衛隊のようにバックアップするというテーマに基づいて翔くんが詞を作ったと思われる。


  おしゃれなドレスを着こんで
  ドキドキHeartの今宵は
  みんながわたしのために
  祝ってくれるのバースデイ・パーティー
  待ちどおしいのよTonight 今夜が

  流れる夜空に甘えて 
  心をふと許した時
  大事なFirst Kissを
  いたずら夜風に盗まれ
  恋に落ちそうなTonight 気分よ

  サユリちゃーん 今行くわ
  サユリちゃーん 待っててね
  サユリちゃーん なーに?
  恋人いるの⁉︎  夜風に聞いてね 今夜は

「ドキドキ♡のバースデイ・パーティー」は作詞の翔くんよりも作曲のJohnnyに意外性を感じる。どちらというとこの曲はJohnnyよりもTAKUの陽気さを感じるからかもしれない。話は逸れるが、当時はバックのコーラスは横浜銀蝿の4人がやっていると思っていたが、改めてクレジットを見ると銀蝿一家になっていた。嶋大輔や紅麗威甦もバックコーラスに参加していたのだろうか。

不思議なものでTAKUが可愛らしい歌詞を書いても違和感はない。おそらくこれはTAKUの書く歌詞で「男」を強調することが少ないからなのではないだろうか。しかし嵐さんと翔くんのタミヤ兄弟からこのような可愛らしい歌詞が出てくるのは本当に違和感しかない。とくに嵐さんの歌詞は「男」を強調したものがほとんどだ。だから岩井小百合に書いた「I Love My ダーリン」は本当に意外性のあるものだった。何度も言うがこれは誤植じゃないか?と思うほどの意外性だ。そもそも嵐さんが岩井小百合に歌詞を書くということ自体が異例中の異例なのだ。

このように岩井小百合のデビュー当時は横浜銀蝿があの手この手でフォローしていたわけだが、嵐さんのこのナイスなフォローには脱帽するしかない。もしかすると、これも嵐さんの男気のひとつなのかもしれない。可愛いマスコットガールのためにひと肌脱いだというわけだ。

嵐さんといえば、紅麗威甦「時代を越えて」の若者の代弁者的な熱いメッセージソング、嶋大輔の「お前だけI Love You」や「男は道化師さ」のような男目線の暑苦しいほどのラブソングのイメージが強い。しかし岩井小百合に対してはこの熱さは無用とばかりに岩井小百合にぴったりな清々しいほどに可愛らしい内容にチャレンジしていたのだ。

確かに海に夢中な男の話は横浜銀蝿なら得意分野に違いない。だから「I Love My ダーリン」も海やサーフィンに夢中な男のことを書いたというわけだろう。しかし、この曲の歌詞のインパクトはそれを女の子目線で表現しているところだ。大好きな彼と念願叶って海へのドライブデートを喜んでいる少女の気持ちを表すという嵐さんの新しい引き出しがひとつ開かれた瞬間だったのではないだろうか。

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あの当時はそこまで考えなかったけれど、横浜銀蝿のメンバーは銀蝿一家の弟分や妹分を率いてどれだけの時間と労力を使っていたのだろうか。横浜銀蝿としての活動もある中、あれだけの弟分妹分に対する熱意と愛情。そこに使うパワーは並大抵のものではなかったと思う。また、同じくマスコットガールの岩井小百合への愛情もまたとてつもなく大きかったことは想像できる。不良の要素のない岩井小百合を一家のメンバーとしてデビューさせることは大きなチャレンジだったであろう。そんな岩井小百合に対して自ら楽曲を提供する横浜銀蝿の兄貴分としての気概がとても好きだ。そこまでして銀蝿一家を支えようとする横浜銀蝿の気持ちの入りように気づくことなく当時は夢中になっていたわけだが、今さらながら嵐さんがイメージとはかけ離れたこんな可愛らしい歌詞を書いてまで支えていた銀蝿一家を思う気持ちの大きさに気づく。

いつか嵐さんと酒を飲む機会があったら、この歌詞を書いた時の話を聞いてみたい。おそらく嵐さんは「あはは、そんなのあったっけ?覚えてない。誤植じゃねーの?」と言いそうな気もするが…


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