「笑顔であいさつ」は「私は安全です」というメッセージ
【2022.4.25 更新】
最近、こんな話を見たり聞いたりしました。
コロナ禍以前は同じ時間に出勤してあいさつをし合うのが当たり前だった。
コロナ禍になってからテレワークによりその当たり前がなくなり、先に来ている同僚にあいさつせず無言で自席に直行する。
社内がフリーアドレス制になってから顔を見たことない人がいて、わざわざあいさつしにくい雰囲気になった。
「大丈夫かなあ…日本。社内の人にあいさつもできなかったら、よその国の人と英会話、タイ語会話どころじゃなくなる」というのが、私の率直な気持ちです。
今回は「挨拶をすること」になぜこだわっているのか綴ってみたいと思います。
タイで何もできなかった自分が唯一できたこと
私は26歳のときにタイの首都バンコクへ単身で渡り、ホテルで仕事しました。
そのときには、英語もタイ語もろくに話せず、ホテルのこともタイのことも何も知らない、ないない尽くしでした。
日本で5年間企業勤めをしていましたが、過去の経験というのはすぐには役に立たないことを、この初めての転職で思い知らされました。
それでも唯一できたことは、自分から「笑顔であいさつ」することでした。
あいさつすることによって、「自分は怪しい人間ではなく、他人に心を開き交流できる人間です」と明示できるのです。
それは、「私は安全な人間です」というメッセージにもなります。
朝昼晩、ホテル内で様々な部門のタイ人スタッフ、西洋人マネージャー、日本人スタッフ問わず、すれ違うたびにあいさつをしていると、顔を覚えられ、名前も聞かれるようになりました。
あいさつによるコミュニケーションをしていると、助けてくれる人も増えます。キャリアップは、人の世話になってこそできるものです。
初対面の相手には、自分の人間性しか見えない
タイのホテルで働いてい以来20年もの間、接客・サービス業で仕事してきました。
お客様はほとんどが初対面の方です。
初対面の相手には、自分の人間性しか見えないことを思い知らされます。
高学歴、高キャリア、難しい資格の持ち主、といったハイスペックな人でも、不愛想であいさつできなければ、いとも簡単に「嫌なスタッフ」に見られてしまいます。
逆にまだ経験や知識が浅くても、笑顔であいさつできる人は「良いスタッフ」として見てもらえます。非常にシンプルですが、厳しい世界ですね。
マンション住民同士のあいさつは友好の証
これは、接客業でなくても普段の日常生活でも言えることです。自分の住むマンションでも、住民の方とすれ違う時には「笑顔であいさつ」をするようにしています。
マンション住民の方は、私の職業どころか名前さえも知らない方が大半です。
互いの詳細を知らないからこそ、友好の証として「笑顔であいさつ」を行うほうがいいと思います。
普段から声をかけ合うことで、治安を保つことにもつながるからです。
自分の住む場所は「友好的な人が住んでいるところ」であってほしいですよね。
あいさつは防犯にもつながる?
マンションだけでなく、商業施設、オフィスなど全ての場所に通じることですが、建物には様々な人が出入りしています。
工場・メンテナンスの方、宅配業者の方、納入業者の方、取引先の方などがいらっしゃる中、その隙をついて不当な目的で出入りしようとする人もいます。
私がかつて勤務していた商業施設では、スタッフ専用通路にこんな貼り紙がしてありました。
防犯のため、すれ違ったら必ずあいさつしましょう
スタッフ専用通路は、一般のお客様が立ち入れない業務用の通路。「業務上の出入り」という、しっかりとした目的があるから出入りするのです。
そのような場所で「お疲れ様です」というあいさつに返答がないと、敬遠されたり、
「何かやましいことでもあるのかな?」
「不審者?」
「産業スパイ?」
などと警戒されたり、マークされてしまう可能性があります。
(少なくとも私は警戒します)
自分が働くお店の仲間以外、商業施設のスタッフ同士は確かに知らない人同士です。
しかし、同じ建物の中で働くという共通事項があるわけです。
災害などの有事の時は、助け合う関係にもなるかもしれません。
普段からあいさつで声をかけ合っていると、違うお店の人でも「いつもあいさつしてくれる人」と覚えてくれるものです。
「あいさつ」によって、相手がどんな人間か分かる
最後に、「あいさつ」が自分を守るセキュリティツールであることもお話しておきたいと思います。
「あいさつ」によって、相手がどんな人間か一瞬で分かるのです。
例えば自分が「おはようございます」といったとき、相手の返し方を要チェックです。
笑顔で返してくれる人、不愛想に「おはよ」と返す人、目も合わさず頭だけ下げる人、無視する人・・・
そうすることで、相手が「お話しやすい人」なのか、「距離を離した方がいい人」なのかが見えます。
笑顔でのあいさつをしない人は、友好的なやり取りを放棄すると宣言しているようなものではないでしょうか?
そういう方とは、英会話、タイ語会話の前に日本語での会話も成立しにくいと考えます。
人を選ばずあいさつ?通行人にも?
この記事を配信したのは2022年3月です。まさに国同士の戦争が起きている時です。
国同士は「戦争」、人対人は「争い」になるのでしょうか?
争いの原因はコミュニケーション不足からではないでしょうか?
争いを避けるために、日頃から「笑顔であいさつ」を交わし、普段からお話しやすい友好的な雰囲気を作ることが大切と考えます。
ちなみに山の中、地方・都会を問わず人の少ないエリアでは、通行人同士でもあいさつを交わしています。
そのような場所では、危険が及んでもすぐに誰かが助けに来てくれるわけではありません。
だからこそ、無意識のうちに「私は安全です」というメッセージを、あいさつにのせて伝えているのではないでしょうか?
そして「あいさつの時は、人を選ばず」でいきましょう。
自分があいさつして相手が返してくれなくても、落ち込む必要はありません。あいさつできないのは、相手の事情だからです。
あいさつによって『自分は安全である』ことを明示できる人間であること。
これこそ、生きやすくなる要素ではないでしょうか?
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。