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【悪い癖】パパの言うことなんか、聞かないもん!

ワンちゃんを迎え入れてしばらく暮らし始めると、

・お母さんのコマンドは聞くのだけれど、お父さんの言うことは聞かない
・子供のそばに近寄らない

など、同じ家族でも、ワンちゃんの接し方が変わってくることがあります。これは、よく「家族にも犬は序列をつけるからだ」なんて書いている本もありますが、実は学術的には、犬の群れに明確な序列があるか、ということは証明されていません。もともと犬の祖先であったオオカミの群れには明確な序列がありますが、家犬には細かい序列はないといわれています。

では、いったい何が原因で、コマンドを聞く、聞かないというのは変わるのでしょうか?

1.トレーニングの時間

トレーニングでコマンドを教えていきますが、実はこの時間をどのくらいかけているか、が一番重要です。コマンドの指示の出し方は女性と男性で声のトーンや、発話スピードが違いますね。お母さんとばかりトレーニングをしていると、お父さんのコマンドが同じコマンドと聞こえず、「???」となっていることが多いのです。嫌いとかじゃなくて、単純にコマンドが通じていないんですよ!

人間だって、大型犬が吠えている声と、小型犬が吠えている声が同じでも、違う意味に聞こえてしまうかもしれませんね。

コミュニケーションを成立させるには、コマンドを理解させるための時間をどれだけとっているか、ということが重要です。一日10分からでいいんですよ!トレーニングする時間を取ってみてください。

さらに上達を促進させるため、どうしてもトレーニング時間が取れない人は、ご褒美をより犬が好むものに変えてみるといいですよ!少ない回数でも、犬が一生懸命覚えようとしてくれると思います。

Tips
どんなトーンでも、どんな速さで話しても、「オイデ」は「オイデ」だよ、というのを教えるには、いろんな人と練習をする必要がありますね。ご家族だけでなく、周りの人のコマンドにもちゃんと従えるようになるというのは理想です!


2.一貫したルールを使っているか

お母さんはオイデと呼んでいるが、お父さんはコイで覚えさせていたりしませんか?また、ハンドシグナル(手の合図)もちょっとした違いがあったりしませんか?

意外とワンちゃんはさりげない、姿勢をかがめているかどうかなどのボディランゲージをみていることもあります。同じ姿勢・同じコマンドを使ってください。

また、家族の中で同じルールを使っていくことも大事ですよ。悪い行動をしたら、無視する、タイムアウトさせる、ということを決めたのであれば、そのルールは全員で同じことをしましょう。入ってはいけない場所に入っても、お母さんには叱られないけれど、お父さんだと叱られる、だと、ルール自体が曖昧なものになって、犬は人によって使い分けてしまうようになります。家庭の中のルールは全員が理解し、同じルールを使っていくことが肝要です。


3.どのような学習をしているか

「オイデ」というコマンドを使えるようになると、どんなシーンでも使いたくなってくるかもしれません。が、例えば

オイデ → ケージに入れられちゃう
オイデ → 痛いブラッシングをされる
オイデ → 無理やり触られる

なんていう学習を重ねると「オイデ=嫌なこと」と結びついてしまうかもしれません。これはオペラント条件付けでいうところの三項随伴性ですね。

■刺激  → 行動        → 結果
■オイデ → 飼い主のもとに行く → 嫌なことがある

となってしまったら、犬にとっての嫌悪刺激が弱化子(罰子)となり、教えたい行動量が減っていきます。

コマンドを聞かないな、というときは、コマンドを聞いたときのご褒美(強化子)をどんどん使って、行動を強化していきましょう。


4.トラウマがないか

意外かもしれませんが、恐怖体験が引き金になっていることもあります。例えば子供は急に大声を出したり、犬からしたら予期しない行動を取ることが多いです。特に子供が大勢遊びにきて、犬を追いかけまわす、どんちゃん騒ぎをするなんていうことがあると、同じ家族でも、「子どもは怖い」「子供は苦手」なんていう風に感じることがあります。

あるいは、男の人の声は低く、体格が大きいため、同じことを女性がするより威圧感を犬が感じやすい傾向があります。また、子犬のころ、叱ろうと覆いかぶさって犬のパーソナルスペースに入り込んでしまったり、したことはありませんか?

恐怖体験は般化されやすく、トラウマになってしまっていることがあります。怖い思いをしてしまったのであれば、それを楽しい思い出で上書きしていってあげましょう。


5.まとめ

犬に嫌われているな、と思っている人は意外と犬が嫌がることを無意識のうちにしていたり、あるいは犬のトラウマの記憶を呼び起こしていたりすることがあります。が、一度学習した記憶は何度でも上書きできます。時間がかかるかもしれませんが、辛抱強くトレーニングを行って、あなたのそばにいったらいいことがあるんだよ、あなたのコマンドを聞くといいことがあるんだよ、と覚えさせていけるといいですよね!

犬側から見たら、「うちのご主人様はちょろくてさ、オスワリさえすればなんでもご褒美くれるし、楽しいこといっぱいしてくれるんだよ~♪」なんて世界が実現できるととてもいいですよね!


■Yokohama Dog Academyでは

犬の学習理論、犬の心理学をもとにしたトレーニングおよび問題行動改善を行っています。問題行動修正、しつけ、なんて聞くと、とっても怖いしつけを想像される方がいらっしゃるのですが、実はワンちゃんもしっぽぶんぶんしながら、トレーニングをしていく方法があるんです。そんな方法を知りたい、やってみたいという方、お申込みはこちらから!お気軽にご質問ください。



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