見出し画像

【悪い癖】お散歩中にコマンドを聞いてくれない・・・!

コロナの影響でなかなか外出できる時間も限られてきてしまいましたね。それでも、犬の散歩はかかせません。朝晩と私も愛犬を連れだしていますが、よく飼い主さんからご相談を受けるのが、「家ではちゃんとコマンドを聞くのだけど、外ではまだできません。。。」ということ。限られたお散歩の時間を有効に使うためにも、今日はおうちで実践できるお散歩トレーニングをご紹介します。


1.犬の世界を考えてみる

まず、家と外の環境の違いは何でしょうか?

・音(車やバイク、電車、信号機の音)
・人(通行人や飼い主さんの友人、子どもなど)
・他の犬(苦手な犬や逆に大好きな犬、鳴き声、マーキング跡など)
・気温
・地面の触感
・花が咲いていたり、落ち葉が落ちていたり・・・

などなど、挙げるときりがないですね。外と家の中では刺激の量・程度・種類が大きく異なります。外に出れば、「見たことがない」「聞いたことがない」「嗅いだことがない」・・・という刺激が山ほどあって、犬は五感を使って探検しているのです。そんなとき、飼い主がコマンドを出したとしても、犬の立場からすると「いえいえ、すみませんが、そんなこと聞いている暇はないんです」となってしまいますよね。


2.コマンドを邪魔している刺激が何か考える

次に「今犬が何に気を取られているか」ということを把握します。地面の匂いをクンクンしているのであれば、対象物がわかりやすいですね。落ち葉やマーキング跡に興味を持ってクンクンしていることが多いかと思います。

また、犬が座り込んでしまったり、動かないというときは、「不安」を感じてフリーズしていることがあります。その場合、犬の苦手な音やモノがないかを飼い主さんが探してあげましょう。犬は苦手なものから視線をそらすカーミングシグナルを出すこともあるので、目線の先に対象物がないこともあるので、よく観察しましょう。犬は聴覚と嗅覚が人間より鋭いので、人間が感知できない場合もあります。少しその場に立ち止まって何が近づいてきているのか、把握するのもおすすめです。

ここで大事なのは

①刺激が何か
②刺激に対して犬はどのような感情を持っているか

を発見することが重要です。「嬉しい」「興味がある」というポジティブな感情を持っている場合と、「怖い」「不安」「助けて!」というネガティブな感情を持っている場合とで、対処法が異なります。

Tip
特に最近のマンションや住宅は気密性が高く、外の音が聞こえづらくなっています。静かな環境に慣れているわんちゃんほど、外に出た時に車やバイクの音、救急車の音、スケートボードの音などが苦手になってしまいます。

飼い主さんのコマンドを聞いてもらえないときは、

他の刺激 > 飼い主からのコマンド

と犬は考えているんですよね。これを

他の刺激 < 飼い主からのコマンド

に変えていきます。どうすればいいかというと、やり方は大きく分けて二つあります。まず一つ目は、他の刺激を小さくするということ、もうひとつは他に刺激があっても、飼い主からのコマンドを聞いたときにもらえるご褒美のほうが魅力的ということを学習させるということです。この他の刺激を小さくするというのは、おうちでできるトレーニングですので、これをぜひやってみてほしいな、と思います。


3.他の刺激を小さくするトレーニング

犬が他の刺激に反応して飼い主さんのコマンドを聞いてくれないのであれば、その刺激が小さくなるように練習しましょう。車の音が怖いという犬の場合、「車の音なんて怖くないよ!」って慣れてくれれば、飼い主さんのコマンドにも従いやすくなります。

この練習は特に刺激に対して不安や恐怖などネガティブな感情を持っている場合に有効です。

例えば、車の音が嫌いな犬の場合、こんな練習をします。

1.車の音をyoutubeで探す。例えばこんな動画です。

2.この動画を聞こえるか聞こえないかの音で再生します。
3.徐々に大きくして、犬の耳がぴくっとする、少し不安そうに感じるなどのボディランゲージが観察されるのがどのくらいの音量か確認します。
4.3で確認したレベルが犬が今我慢できる数値ですね。これはいつも外で聞いている音よりきっと小さいと思います。これを徐々に大きくしていきます。
5.徐々に大きくしていくときに、おいしいものを犬に与えていきます。

Tip
おいしいものを犬に与えるのは、古典的条件付けですね。「あ、車の音って、怖いだけじゃなくておいしいものが出てくるのね。しかもそんなにいつもみたいに大きな音じゃないし・・・」「車の音がすると、おいしいものが出てくるぞ!今まで怖かったけど、もしかしたらいいことが起きるサインなのかも?」なんて犬が感じてくれたらいいですよね。

あと、天気も良くなってきたので、できるだけ家の窓を開けて、外の音を聞こえるようにするのもいい手段です。最近のマンションや家は気密性が高く、外の音が全くしない静かな環境になっているかもしれませんが、そうすると、外と家の中の音のギャップが大きいですよね。このギャップが犬にとって恐怖につながります。家の中でも生活音がしたり、テレビの音を流したり、外の音が聞こえるようにしたりして、外と家の中の環境の差をなくしていくのも、早く慣れるコツです。


4.他に刺激があっても、飼い主さんのコマンドを聞いてもらうトレーニング

他の刺激 > 飼い主からのコマンドとなってしまっているので、他の刺激があっても、飼い主さんからのコマンドを聞くと、もっといいことがあるんだ!ということを学習させます。まず、犬の名前を呼んだら、飼い主にアテンションが必要です。アイコンタクトを練習しましょう。

次に、振り向いたら、どんなに刺激がそこら中に散らばっていても、「オスワリ」「マテ」「オイデ」などをしてほしいですよね。なので、このコマンドを練習するときには、わざとおいしいものをばらまいて罠をしかけますw例えば、「オイデ」で罠をしかけるには・・・

1.犬と飼い主さんが1メートルくらいの距離のところに向かい合う
2.犬と飼い主さんの間にフードやおもちゃを散らばす
3.「オイデ」と指示を出し、フードやおもちゃに見向きもしないで帰ってこれたら、ものすごくおいしいご褒美を出す

なんてことをします。このトレーニングをするコツは絶対に犬が成功するように罠の難易度をコントロールすることです。犬と飼い主さんの直線状に罠を仕掛けたら、犬は絶対ひっかかって失敗してしまいますよね。足元においしいものがあるので、これは罠の難易度が難しすぎます。初めてやるときは、犬と飼い主さんの直線上におくのではなく、さらに遠くに距離をとるようにして、成功を仕向けます。

また、罠としてばらまくフードやおもちゃのランクをご褒美より下げることも重要です。罠にかかったほうが犬にとってお得であれば、絶対失敗しますよね。飼い主さんのもとに戻ってきたほうが、指示を聞いたときのほうが、ランクの高いご褒美がもらえる!というのを学習すれば、罠には見向きもしなくなります。こうして成功体験を積ませて「他の刺激があっても、飼い主さんからのコマンドを聞くと、もっといいことがあるんだ!」ということを学習させていきましょう。

この「3.他の刺激を小さくするトレーニング」「4.他に刺激があっても、飼い主さんのコマンドを聞いてもらうトレーニング」というのが家の中でもできるお散歩の練習ですね。次にご紹介するのは、いざお散歩に行くときの心がけです。


5.お散歩に行くときの準備と心がけ

いよいよお散歩の時間です。コマンドを聞いてもらうためには、「他の刺激 < 飼い主からのコマンド」に変えていくには、2つ準備することがあります。一つ目は、刺激そのものを小さくする、回避ができないか考える。次に、犬にとって魅力の高いご褒美を持っていくことです。

5-1.刺激そのものを小さくする、回避ができないか考える
3で刺激を小さくする練習をしましたが、それでも、突発的に車の音が目の前で大きくなったり、他のワンちゃんが近くに急に寄ってきたりすると、不安を感じたり、興奮が高まってしまうことがあります。

一番手っ取り早い方法は、その刺激そのものを回避することですね。例えば車の音が苦手な犬の場合、できるだけ大通りを避けるようお散歩のルートを変えたり、車の交通量が少ない時間帯にお散歩をするようにします。犬が大好きすぎて、犬を見かけると飛び掛かっちゃうなんて犬も、できるだけ他の犬が来ないような場所をお散歩場所に選びます。

環境を変えることが難しくて、刺激を回避できない場合は、刺激からできるだけ距離を取る、刺激を視界に入れないようにするようにしましょう。これは犬のトレーニングというより、飼い主さんが犬より先に「犬にとっての刺激」を発見することを練習する必要があります!最初は慣れなくて大変かもしれませんが、犬の気持ちになって、お散歩中にどのように見えているか一つずつ丁寧に考え、シミュレーションをしておくようにしましょう。

5-2.犬にとって魅力の高いご褒美を持っていく
どんなにシミュレーションをしておいても、お散歩中はいつ何が起こるかわかりません。飼い主が気づかないところに他の犬のマーキングがあったり、事前に刺激を遠ざけることができない場合もあるかもしれません。そんなときでも、飼い主さんにアテンションを向けさせるには、「ご褒美の力」を借りるのが一番です!犬にとって一番いいランクのご褒美を持っていくようにしましょう。

犬にとってのランクの高いご褒美についてはこの記事で説明しています。

家の中では「刺激を小さくする」「刺激があってもコマンドを聞いてもらう」というのを練習しましたが、最後の手段として「ご褒美」そのものの価値をあげて

他の刺激 < 飼い主からのコマンド

と変えていっちゃいます。


まとめ

外と家の中の環境は人間が思っている以上に、犬にとっては大きく違います。家を一歩出た瞬間に、刺激の嵐で犬が飼い主さんのコマンドを聞くというのは、難易度がぐーんと上がるんですね。諦めてしまう飼い主さんも多いのですが、ぜひ家の中でも「何が刺激なのか」「どういう風に犬が感じているのか」なんてことを考えてトレーニングをしたうえで、「どのルートを取ろうか」「どんなご褒美をもっていこうか」と、お散歩前に準備をしてみてください。

また、お散歩のときになかなかコマンドを聞いてくれないときは、難易度を下げるのも有効ですよ!難しいことをいきなりチャレンジするのではなく、とりあえず犬がやりやすいコマンドから始めましょう。声の合図を聞かないときは、手の合図に戻して、それでもだめならルアーで、というように難易度を下げていったりもします。

徐々に徐々に練習を重ねていくことで、より充実したお散歩になること、間違いなしですよ!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?