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吠えるだけじゃない!犬の問題行動の種類は40種類以上

こんにちは、犬の問題行動のコンサルテーションを行っていると、そもそも問題行動ってどんなことがあるの?と質問を受けることがあります。

今日は臨床獣医師も活用している「Blackwell's Five-Minute Veterinary Consult Clinical Companion: Canine and Feline Behavior」に記載のある問題行動についてご紹介していきたいと思います。


1.犬の問題行動の種類

まず犬の問題行動には大きく分けて4つのカテゴリがあります。

・攻撃行動
・不安障害
・常同行動
・その他(排泄の失敗など)

一番相談事として多いのは、攻撃行動です。どの問題行動もそうですが、一度問題行動は始まると「自然と止まる」ということはありません。適切に犬に行動学習をさせない限り「エスカレート」していくものです。最初は甘噛みから始まった人間への咬みつきが、どんどん行動強化されて、攻撃行動にまで発展してしまうなんてことがあります。

あるいは、今まで発症していなかったのに、他の犬に噛まれた、怖い思いをしたなんてトラウマから攻撃行動が始まるワンちゃんもいますが、攻撃行動は改善していかないと、飼い主さんも犬も生活の質が下がってしまいます。

他にも花火の音がするとパニックになって自傷行動を取ってしまう、飼い主さんと離れると吠えてしまうなんていう、不安に関連する問題行動や、足を舐めすぎて皮膚炎になってしまうなんていう行動もあります。

これらの問題行動は一つ一つ

・どのようなことがきっかけだったのか
・何に対して起こっているのか
・犬がどのような気持ちになっているのか

ということを詳細に検討しながら、どの行動に該当するのか、ということを鑑別していきます。

2.犬の攻撃行動

まず攻撃行動とはどのようなものか、というと

・吠え
・唸り
・歯を見せる
・空噛み
・咬みつき

などがあげられます。吠えは嬉しくて吠えているだけ、なんてこともありますが、これらの行動が何に対して、どのようなときに発生するのか、ということを詳しく見ながら、攻撃行動かを確認する必要があります。

攻撃行動であるということが確認されたら、対象物やどのような場合に発生するのか、ということで攻撃行動の種類をさらに細かく分けていきます。

①身近な人間(家族)に対する攻撃行動
②見知らぬ人間に対する攻撃行動
③恐怖性/防御性攻撃行動
④縄張り性攻撃行動
⑤所有性攻撃行動
⑥食物関連性攻撃行動
⑦転嫁性攻撃行動
⑧身近な犬同士の攻撃行動
⑨見知らぬ犬に対する攻撃行動
⑩動物病院での攻撃行動
⑪突発性攻撃行動


3.不安障害

これは人間でいうところの「恐怖症」です。高所恐怖症、先端恐怖症いろいろな恐怖症がありますが、犬も恐怖のあまりパニックになったり、生理的な反応がでることがあります。

犬が恐怖を感じた時に出る行動は「闘争」「逃避」「硬直」「カーミングシグナル」などが有名です。そのうち、「闘争」は攻撃行動の一つとしてもカウントされています。例えば他の犬が怖いあまり攻撃行動が出ているなんていうときは、攻撃行動はダメだけではなく、不安自体を取り除いてあげることが重要です。なので、関連する複数症状があることにも注目していく必要があります。

不安や恐怖の反応が見られるようであれば、何に対する不安かということをきちんと把握して、それぞれに応じた改善を行っていくことが重要です。

①分離不安
②人間に対する恐怖
③場所やモノに対する恐怖
④屋外に対する恐怖
⑤音に対する恐怖
⑥雷雨恐怖症
⑦花火恐怖症

この恐怖症は主に14週までの社会化期にその刺激への暴露がなされていないこと、その後も継続的に新規刺激に接するような学習をしていないこと、トラウマ体験をしてしまったこと、などが原因として見受けられます。


4.常同行動

これはちょっとわかりづらいのですが、よく動物園のライオンが暇でおりの中をうろうろしているような行動が見られることがあると思います。ああいった、動物本来の行動が状況と関係なく誇張され、継続されて表現されている行動を指します。よく犬では手足を舐めすぎて、皮膚炎になってしまったなんていうことがありますが、これがまさに常同行動の一種です。グルーミングするための行動が、必要な頻度を上回っている、あるいは皮膚炎・脱毛などの症状を引き起こしてしまっていることが、常同行動の条件となります。

よく常同行動として見受けられるのは、「回転」「尾追い」「自傷」「幻覚」「異嗜」「発声」「歩き回る」などですが、そのうち顕著なものとして以下があげられます。


①肢端舐性皮膚炎・過度の舐め行動
②尾追い行動や回転行動
③蠅追い行動
④脇腹吸い行動
⑤影や光追い行動

これらは誤った飼い主さんと犬のかかわり方、犬に適切な運動や活動をさせていないなどが原因として挙げられます。


5.その他(排泄の失敗など)

攻撃行動でもない、不安による問題行動でもない、常同行動でもない、というような問題行動がこのカテゴリに入ってきます。

例えば

①不適切な場所での排泄
②マーキング行動
③認知機能不全
④異嗜
⑤食糞症
⑥発声・鳴き声
⑦噛み行動
⑧過活動
⑨捕食行動
⑩懇願行動
⑪もの盗み行動
⑫放浪
⑬悲嘆様行動
⑭乗り物による移動に関連する問題
⑮くわえ行動・遊び噛み行動・攻撃的な遊び行動
⑯人間への飛びつき行動
⑰掘る行動

のようなものがあります。それも犬にとって自然な行動ではありますが、人間の社会に生活していく上で、問題となる行動が含まれてきます。これらの問題行動を早めに対応をしていくことで、犬、飼い主さんの家族、社会の生活の質が向上していきます。

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6.まとめ

こうやって見てみると、犬の問題行動っていろんな種類がありますよね。「吠え」という行動でも、まずこの4つのうちどのカテゴリの行動なのか、ということを判断し、さらに詳細化していきます。この行動が正確に鑑別できないと、問題行動修正時のアプローチが正しくできなくなってしまうので、非常に重要です。Yokohama Dog Academyでは二時間ほどかけてカウンセリングを行い、飼い主さんから詳しく状況をお伺いいたします。

またそれぞれの問題行動についても徐々に記事を書いていきたいと思います。どの行動から書いてほしいなんていうのがあれば、ぜひコメントくださいね。



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