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言葉が通じない世界って?

犬とコミュニケーションをとるとき、一番困ることは「言葉が通じない」ということです。人間同士では「私はこういうことをするのが好き~♪」って伝えることができますし、「そういうことはやっちゃだめでしょ!なんでやったの?」と叱るだけでなく、理由もコミュニケーションすることができますよね。

コミュニケーションをどうやって成立させるか、ということを考えるのはメタコミュニケーションといわれますが、犬もメタコミュニケーションを考えることができるといわれています。犬同士の場合は、「ボディランゲージ」で犬同士のコミュニケーションを成立させていきますので、子どものころに十分に犬同士で遊ばせることで、「犬語」が理解できるようになります。

人間が犬語を理解するようになるには、「ボディランゲージを観察する」ことで、ある程度理解できるようになるかもしれませんが、犬が人間の言葉を理解することは不可能ですよね。飼い主さんの気持ちを推察したりすることはできているかもしれませんが、抽象的な思考や何時間も前の出来事と今の出来事を結び付けたりという思考力に限界があるため、そもそも犬と人間では思考のレベルにも違いがあると考えられています。

では、人間が言葉でコミュニケーションを成立させているような社会のことを、犬はどのように見ているのでしょうか?犬の気持ちになってみるゲームがありますので今日はそのご紹介をします。


1.シェイピングゲームとは

犬の気持ちになってみるには、「シェイピングゲーム」をやってみることをお勧めしています。これは2人以上のグループで言葉を使わずに、正解をあてていくゲームです。特別に必要なものはありません。家のリビングでも、屋外でもOKです。在宅時間が長くなっている今にピッタリのゲームですので、ぜひご家族でもやってみてください。


2.シェイピングゲームのやり方

【準備】

1.最初に、くじ引きやじゃんけんで①犬役②飼い主役③オーディエンス約を決めます。2人のみでやる場合は、オーディエンス役は不要です。

2.②飼い主役の人はその場所にあるもので、 何か正解の行動を決めます。例えばリビングにいるのであれば、「電気のスイッチを入れる」や「部屋の隅にある椅子に腰かける」などの行動にします。

3.(2人のみの場合はスキップ)
②飼い主役は③オーディエンス役にのみ、正解の行動(例:電気のスイッチを入れる)を伝えます。このとき、①犬役には絶対に正解が伝わらないようにします。


【ゲーム開始】

注意:全員、発言してはいけません。質問も回答もNGです。

4.①犬役の人は②飼い主役が考えた正解の行動を当てるために、どんどんいろんな行動を取ってみます。まったくヒントがありませんので、まずは立ったり座ったり、いろんなところを歩き回ったりしてみます。

5.②飼い主役は正解に近づいたときに、「拍手」をして、その行動が「正解に近いよ!」と表現します。このとき「言葉でヒントを与えてはいけません。あくまで拍手で表現します。正解から遠ざかった場合は、拍手を止めます。

6.①犬役の人は②飼い主役、③オーディエンスの拍手をもとにいろんなことを試して、正解の行動を当てていきます。当たったら、正解!と伝え、ゲームを終了します。

Tip
このゲームの難易度をあげるには、正解の行動を連続する行動にするといいですよ!例えば、「部屋の隅に座って、電気のスイッチを入れる」などのようにします。

また、なかなか犬役の人が正解にたどり着けない場合は、オーディエンスと飼い主役が変わってみたりしましょう。


3.シェイピングゲームでわかること

実際犬役をやってみると、何が正解かわからない中、飼い主の要求を理解することが、いかに難しいかということがわかります。あともう一つ重要なことは、拍手が鳴らないことがどれだけ不安かということです。

私も始めてこのゲームをやったときは、あまりの不安に動きが止まってしまいましたw「え、どうしようどうしよう、飼い主さんは私に望んでいるんだろう?」と考え込んで、恥ずかしくなって、何分も立ちすくんでしまったのです。

一方、飼い主役・オーディエンス役の人も拍手せずにいると、こんな立ちすくむ犬役をうまくリードできていないということになりますよね。ちょっとした行動でもどんどん褒めてあげないと、犬が学習無気力症になってしまうということがよく理解できるようになると思います。


まとめ

このゲームは言葉が通じない外国人とのWorkShopなどでも活用されており、言葉を使わずに、コミュニケーションをどうやって成立させるかということをよく考えることができます。このゲームが得意なのは、ダンサーなど、体を使って表現することが上手な方だといわれています。

犬から見た人間のコミュニケーションを理解するのに、非常に役に立つゲームです。このゲームを試してからトレーニングを始めると、

・犬はいろいろ試行錯誤してり、最初からうまくいくわけがないんだということ
・トレーニングがうまくいかないのは、ゴールが難しすぎたり、指導方法に問題があったりするかもしれないということ
・犬を人間の思う通りに行動させるには、共通言語をたくさんつくっておかなきゃいけないということ

が理解できるようになると思います。

ぜひ、このおうち時間で試してみてくださいね!


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