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Yチェアを買った話

『なぜデンマーク人は初任給でイスを買うのか』読んだことはないけど、デンマークを歩いてみるとあちらこちらでYチェアに限らず、素敵な椅子を見かける。
あんな落ち着く椅子がお家にあったらなー!とか、新しい生活が始まるのに向けて心機一転腰を据えられるところを整えよう!とかそういう気持ちになるのは想像に難くない。
高級家具なんて、とか、Yチェアなんて、とか鼻で笑っていた私もすっかり虜にさせられてしまったうちの一人だ。
椅子は椅子だしただ座るものだろ、と思ってたのだが、座ってみるとどうにもしっくりくる。もちろんしっくりくる椅子なんてごまんとあるのかもしれないが、背もたれの絶妙なカーブ、肘掛けの滑らかな素材感、座面の反発具合、そして何より高級な椅子に座っているという緊張感からくる姿勢の良さ。それらが相まって、独特の居心地の良さとまさに”しっくりくる”という感覚に包まれる。

「Yチェア…買うか………」
となってから、実は3週間くらい経過した。買うならお安く蚤の市とかで手に入れるのもありかな…とも考えたが、『初任給で~』の話を思い出してデンマークの新卒社会人に買えて私に買えないはずがない(?)と財布の紐を緩めるに至った。
デンマーク首都であるコペンハーゲンでYチェアを買うには、まずはCarl Hansen & Søn直営店。市内にはFlagship Storeが2店舗ある。
Strøget(ストロイエ)やNyhavn(ニューハウン)でお馴染みの中心街Kongens Nytorv駅から徒歩5分くらいのところに1店舗(その向かいにミニショップもあるけど)、ビールで有名なCarlsberg駅近くのCarlsberg byen駅近くにもう1店舗がある。
直営店ではないけど、Strøget(ストロイエ)の中にあるIllums Bolighusの家具フロアにも置いてあるし、若者の街Christianshavn駅出てすぐの大通りにあるVestergaard Møbler家具店でも見ることができる。他にも探せばあるかもしれないが、ざっと街歩きして出会ったのはそれくらい。
店舗によっては独自に割引している所もあったりする。それでも下限は、3,000 DKK~くらいで、正規でお高いものだと10,000 DKKを超えてくるものもある。2023年3月時点の日本円換算で言えば、6万~20万くらいの価格帯だ。

この4店舗を私はぐるぐる回り、写真撮らせてもらって、座って、肘掛け撫でて、値段見て、夜帰って反芻して、あーでもないこーでもないと悩みに悩んだ。
一番最初はNorth Seaなんていう、まさに北欧!みたいな名前の付いたラッカー塗装のを気に入っていた。
でも色々調べてみると、使っている木材がビーチ材であり、その他にもチーク、オーク、ウォルナッツ、マホガニーなどなど、仕上げ方もラッカー、ソープ、オイルがあって歴史ある由緒正しい北欧家具はうんちくの塊だった。
こういうのはドツボか沼かにハマってしまうので買う前に調べてはいけない。
買った後に調べるのはうっかりもう1客増えてしまうからもっとダメ。

そういった眠れない日々を過ごした後、もう!今日買おう!と思い立ってフラグシップストア本店に向かった。
もともとこれがいいんじゃないか?と密かに思いを寄せているものがあったのだが、すでに売り切れてしまったいた。
店を変えるか迷ったが、前に見かけて少し気になっていた子を30分程度悩んだ末にお迎えすることにした。

後ろから見たYチェア。Y字部分が別素材なのでくっきり。

背もたれと、Y字の部分がウォルナッツ材、その他足回りの部分はオーク材で作られていて、バイカラーになっているユニークなもの。
基本Yチェアは単色単材なので、珍しい!と思ったのも購入を後押ししたポイント。
異なる木材が組み合わさることで、濃く甘いウォルナッツの木の色でY字がくっきり見えるところは惚れ惚れする。

横から見たYチェア。艶めかしい曲線美。

このウォルナッツ材の色に惚れてこれにしたわけだけど、実はオーク材の円を描く木目がしっかりでているのもすごく気に入ったポイントの一つ。
グレードが低いものだと塗装されて木目が見えないものもあるので、1つ1つ違った顔を見せてくれる木目が協調されているのもよい。
360度どこから見ても楽しい。

オーク材の部分は経年で段々色が濃くなっていき、逆にウォルナッツは経年で少し白くなっていくとWEBで読んだ。
今でこそはっきりバイカラーになっているが、この2つが経年でどうなるのか、今からとても楽しみだ。10年20年使っていきたい。
念のためお手入れの方法も聞いたけど、
・表面のチリやゴミをしっかり拭き取って
・木材用のオイルを塗って
・3日間くらいちゃんと乾かす
というのを年に2回もやればしっかり持つらしい。
乾燥が一番の敵だと思うので、暖房器具をガンガン焚くことになるであろう冬の始めと終わりにしっかりお手入れできたらいいんじゃないかと思う。
新品なんだからとりあえず1年はやらなくても大丈夫よ、とは言われてるので次回のメンテナンスは2024年の3月頃を予定しております。

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