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シネマ芋先輩、奥多摩に行って故郷の芋を知る~幻の治助芋を求めて~

芋研ゼミ長こと雲形ひじきさんとともに奥多摩に行った日のレポートです。
目的は、奥多摩でのみ生産される幻のじゃがいも「治助芋」(じすけいも)のカレーを食べること。そしてあわよくば治助芋をゲットすることです。

Twitterでツイートした内容を振り返りながら、簡単にまとめてみたいと思います。

治助芋とは?

JA東京中央会と奥多摩町のHPにある説明がわかりやすそうですね。(その前に、芋研ゼミとは何なのだろう)

 治助イモは江戸時代に日本に伝わってきた原種に近いジャガイモで、明治時代に治助さんが隣の桧原村から種芋を持ち帰った種芋を峰谷地域で代々受け継がれてきたものです。
 男爵イモなどが栽培されるようになり、姿を消していったものが峰谷の集落で栽培され続けていたのが発見されました。
 普通のジャガイモと比べてねっとりとして粘りが強く、煮崩れしにくいという特徴があります。味が濃厚でおいしいといわれています。
 現在の生産者数は45名で、販売協力店も町内に多数あります。
おいしい治助イモをみなさんに食べていただくため、また治助イモの品質を保持しブランド化を確立していくため、治助イモを使った料理を提供する料理店や宿泊施設を認定する「治助イモ認定店登録制度」をつくりました。下記の治助イモ認定店にて、治助イモの料理を提供しておりますので、ぜひ奥多摩に治助イモを食べに来てください!!

つまり、奥多摩でしか生産されていない伝統のじゃがいも、という感じですね。


芋を食って歩く永久機関、奥多摩に現る

奥多摩はまるで都内とは思えない、自然豊かで美しいところですね。多摩川沿いではキャンプをしている人もたくさんいました。
↑上の4枚目は奥多摩湖です。(時系列が逆転してますが、カレーの後に行きました)

芋とは関係ないですが、こういう古い看板が残っているのもなかなか興味深かったです。奥多摩は日本中でもトップクラスに公害とは無縁そうな土地なのに。
クロレラ錠が発売された1964年は高度成長期まっただ中で、四大公害病(水俣病・新潟水俣病・イタイイタイ病・四日市ぜんそく)が全国的に明るみになった時期のようなので、こういう宣伝文句になったのかしら。
さすがにこの看板はそこまで古いものではなさそうですが、当時の奥多摩の人たちは、2020年になってもまだ自然がいっぱい残っているとは思わなかったのかもしれませんね。
クロレラが公害に効く……のかしら? 効かないでしょうねえ。

話が脱線しました。


治助芋のカレー!+α

治助芋のカレーを食べに行ったのに肝心の芋が後ろ側になってろくに映ってないという(笑)
「甘い! 栗みたい!」っていうのとはちょっと違う、濃い旨味と少し山芋っぽい粘り気がありました。自家製カレーもほどよくスパイシーでおいしかったです。
マルゲリータピザも焼きたてほっかほか。ひじきさんと半分こして食べました。私はシネマ芋先輩だけど、トマトもこよなく愛しています。

4枚目の写真は、駅前のまるにや肉店さんのコロッケです。揚げたてサクサクホクホクを提供してくださいます。
芋は治助芋ではないですが(※小粒で粘り気のある治助芋はコロッケ向きではないと思います)豚肉は青梅のブランド豚「下田さん家の豚」
肉の旨味をしっかり感じるおいしいコロッケでした。
めっちゃ食ってるなあ。なぜならこの永久機関、恐ろしく燃費が悪いのである!

育てているのは山田さんだけど、下田さん家の豚です。(なんで下田さんなのかは上記のリンクを見てね)


永久機関は治助芋を買って帰りたい

さて、治助芋は生産量が多くないので、いまのところ通販では買えません。
しかし、いくら治助芋が幻の芋とはいっても、奥多摩に行けば観光案内所やそのへんの八百屋さんに売っているだろうと高をくくっておりました。

しかしカフェクアラの店員さんに「治助芋ってどこで買えますか?」と聞いてみると、「昨日の情報ですけど、奥多摩湖の『水と緑のふれあい館』にあったみたいですよ」とのこと。
「駅前の観光案内所に聞かれたほうがいいかもしれません。同じことを言うかもしれませんけど……」

「昨日の情報」「同じことを言うかも」??

一気にレア感が漂います。

そして駅前の観光案内所に行ってみると。

「本来ならうちも販売所なんですけど、今年はあんまり獲れないみたいなんですよね。奥多摩湖の『水と緑のふれあい館』ならあるかも……」

カフェクアラさんと同じことをおっしゃる。しかも今年は不作だと。
ますますレア感が高まり、「われわれは治助芋を買って帰れるのか?」と緊張感が走ります。

あるかないか定かでなくても、行くしかありませんよね、奥多摩湖。
ふたりの意見はあっさりと一致しました。

(※このタイミングでコロッケを食っています)


治助芋と感動のご対面

奥多摩駅周辺をぶらぶらしながらバスを待ち、いざ奥多摩湖へ。
山道なのでなかなか曲がりくねっています。新宿大ガード交差点から都庁にタクシーで行くだけで車に酔える私(たぶん1㎞ぐらいしかないぞ)、どうにか酔わなくてよかった。山間部へ行くときは、酔い止め持っておいたほうがいいですねえ。

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奥多摩湖に到着した我々、湖に背を向けて、めざすは水と緑のふれあい館最上階にあるお土産店。
我々は水でも緑でもなく、芋とふれあいに来たのです。

そして……

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ありました! 治助芋!!!!!

奥多摩名産のゆず胡椒も一緒にゲットです。

(なぜかこのときパナップも買って食っている)(よく食うな)(この永久機関、恐ろしく燃費が以下略)

ひじきさんと私はお目当ての店に行ったら閉店していた苦い過去があったので(詳しくは私たち二人の共著同人誌『ニコラスには行ってない。』を読んでね)
また『治助芋は買えてない。』みたいなことになるのか……? とドキドキしましたが、無事買えてよかったです。
お値段いくらだったっけ……。「幻の芋」とはいえそんなに高くはなかったです。
※2020/8/24追記 500gで300円でした!


治助芋で作った料理

まずはみそ炒めに。甘辛い味噌の味と、青じその風味が素朴でどこか懐かしく、治助芋によく合っていたように思います。

残りはヤマサ醤油さんの力を借りて焼きびたしに。(こちらの記事でも紹介しています)
こちらは芋の風味が生きてさっぱりといただけました。

治助芋レポートは以上です。

珍しい芋体験にお誘いくださったひじきさん、ありがとうございました。

……が。

治助芋のレポートを書いている最中、愛媛県出身の私にはふと思い当たることがありました……。


シネマ芋先輩、奥多摩に行って故郷の芋を知る

今日の記事は最終章のタイトルがメインタイトルと同じやつです。オタクのみんな、こういうの好きだろ。

カフェクアラさんのホームページに、「『治助』の特徴」としてこんな記載が。

病気になりにくく、また他の作物では生育が悪い急斜面で砂利の多い奥多摩の畑(地元の言葉で「さかっぱたけ」という)でも育つ。

さかっぱたけ……。急斜面の畑……。

愛媛の段々畑みたいなことかな??

愛媛で段々畑といえば、そりゃあ作物はみかんでしょうとみなさまお思いかと思います。

私もそう思っていました。愛媛県出身とはいえ、段々畑の多い海沿いとはあまり縁のない地域で育った私は、じゃがいもを作っている段畑(だんばた)もあるなんて知らなかったのです。

な、なんやて!!

2020年は時季が過ぎてしまいましたが、こちらのお芋さんは期間限定で通販でも買えるようです。楽天やアマゾンでも取扱しているショップがあるよう。来年はお取り寄せしたいな~。(忘れてる気がする)

ふるさとは遠くにありて思うもの、とはよく言ったものですね。

どうやら芋も同じようです。

古きお芋(奥多摩の治助芋)をたずねて新しきお芋(宇和島の馬鈴薯)を知った(?)お話でした。

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